応用情報技術者試験 合格教科書|2026年度(令和8年度)対応
第 10 章|科目 A 例年 5〜6 問(直近 10 年 19 回で 100 問、1 回平均 5.3 問)/科目 B 選択問題(ネットワーク。直近 19 回とも問 5 で出題) 科目 B: ネットワーク

ネットワーク ― プロトコル・IP アドレス・LAN/WAN・ネットワーク管理

TCP/IP の階層とパケットの流れをアニメーションで追い、サブネットや伝送時間の計算を確実にする。科目 B ネットワーク問の基盤

この章で学ぶこと

科目 A では直近 10 年 19 回で 100 問、1 回平均 5.3 問が出ています。中分類 23 個のなかでセキュリティに次ぐ 2 番目の分量で、5 問確保が目標です。内訳は知識 75 問・計算 24 問で、計算はサブネット(10 回)と伝送時間(9 回)にほぼ集中します。科目 B は問 1(情報セキュリティ)が必須、問 2〜11 から 4 問選択という形式で、ネットワークは直近 19 回すべて問 5 に置かれています。本章はその土台になります。

階層モデルとカプセル化

ネットワークは「役割を層に切り分け、隣り合う層の間だけでやり取りする」という約束で組み立てられています。層に分けておくと、下の層(より対線か光ファイバか、有線か無線か)が変わっても上の層(HTTP や DNS)を作り直さずに済みます。ISO が策定した OSI 基本参照モデルは 7 層、実装として広く使われている TCP/IP は 4 階層です(OSI 基本参照モデルは ISO/IEC 7498-1 として規格化されており、TCP/IP の 4 階層区分は代表的な整理のため資料によって層の分け方には幅があります)。試験では層そのものの定義よりも、「この装置・このプロトコルは何層か」が繰り返し問われます。

OSI 基本参照モデル TCP/IP 4 階層 代表プロトコル 接続装置 アプリケーション層 プレゼンテーション層 セション層 トランスポート層 ネットワーク層 データリンク層 物理層 アプリケーション層 トランスポート層 インターネット層 ネットワーク インタフェース層 HTTP, DNS, SMTP TLS, MIME セション管理 TCP, UDP IP, ICMP イーサネット, ARP より対線, 光ファイバ ゲートウェイ, プロキシ ― ― ― ルータ, L3 スイッチ ブリッジ, L2 スイッチ リピータ, ハブ
図 10-1 層と装置の対応表。装置を選ぶ問題は「転送の判断に何を見るか」で決まります。リピータは信号だけ、ブリッジと L2 スイッチは MAC アドレス、ルータと L3 スイッチは IP アドレス、ゲートウェイはアプリケーション層のデータまで見ます。

送信側では、上の層のデータに下の層のヘッダーが順に付き、受信側で逆に外されます。これをカプセル化といいます。TCP ヘッダーが付いたものをセグメント、IP ヘッダーが付いたものをパケット、MAC ヘッダーと FCS(誤り検出用の検査符号)が付いたものをフレームと呼びます。ここで押さえるべきは「ルータを 1 台越えるたびに MAC ヘッダーは作り直されるが、IP ヘッダーの宛先 IP アドレスは終点まで変わらない」という点です。

イーサネットフレームの構造 MAC ヘッダー 宛先・送信元 MAC IP ヘッダー 宛先・送信元 IP TCP ヘッダー ポート番号など データ 上位層のデータ FCS 誤り検出 ルータを 1 台越えるたびに、MAC ヘッダーだけが作り直される PC A 192.168.10.7 ルータ MAC を付け替え サーバ B 192.168.20.5 宛先 MAC: ルータ 宛先 MAC: サーバ B 宛先 IP: 192.168.20.5 宛先 IP: 変わらない MAC はホップごとに変わり、IP は宛先まで変わらない
図 10-2 カプセル化とルータ越え。科目 B では構成図上でこの書き換えを追わせる設問が定番です。「送信元 IP はどの機器のものか」を問われたら、途中に NAT・ロードバランサ・プロキシが無いかを先に確認します。
区分用語内容
種類LAN/WANLAN は構内、WAN は電気通信事業者の設備を借りて拠点間を結ぶ。ISP(Internet Service Provider)との契約は従量制と月額固定料金があり、運用費用の見積りに効く
種類MDF/IDFMDF(Main Distribution Frame)は建物の主配線盤、IDF(Intermediate Distribution Frame)はフロアごとの中間配線盤。センサーネットワークは多数のセンサを無線で束ねた形態
トポロジスター型/ツリー型集線装置を中心に星状に接続。現在の LAN の主流で、階層化するとツリー型。1 本の障害は 1 台にとどまる
トポロジバス型/リング型/ポイントツーポイントバス型は 1 本の幹線を共有(幹線障害で全滅)、リング型は環状、ポイントツーポイントは 2 地点間の直結(相手固定接続)
交換方式回線交換網/パケット交換網回線交換は通信中ずっと帯域を占有(電話が原型)。パケット交換はパケットに分割して回線を多重利用する。インターネットも VoIP(IP 電話)もパケット交換
伝送方式単方向/半二重/全二重半二重は送受信を交互に、全二重は同時に行う。スイッチングハブによる全二重化で衝突そのものが起きなくなる
多重化WDM/TDMAWDM(Wavelength Division Multiplexing)は光の波長で、TDMA は時間スロットで 1 本の回線を多重化する
回線公衆回線/専用線/PLC専用線は帯域を占有し品質が安定するが高価。PLC(電力線通信)は電力線を通信に使う技術で、LAN ケーブルで給電する PoE とは向きが逆
標準化ITU-T の X/V/I シリーズWAN の通信プロトコルは ITU-T が勧告として策定する。X はデータ網、V は電話網上のデータ伝送、I は ISDN 関連

ネットワークが止まると業務も生活も止まります。社会全体が情報通信技術(ICT)に依存したネットワーク社会では、障害の社会的影響が大きく、「いつでもどこでも使える」ことを前提にしたユビキタス・パーベイシブな利用形態が広がっています。だからこそ後述する冗長化と障害管理が問われます。

回線の計算 ― 伝送時間・回線速度・ビット誤り率

この章の計算問題はほぼこの節に集まります。伝送時間の計算は直近 10 年で 9 回、ビット誤り率が 3 回、合わせて 12 回。しかも使う式は 1 本だけで、あとはどこを未知数にするかの違いです。まず単位をそろえることが決め手で、データ量はバイト、回線速度はビット/秒(bps)で与えられるので、必ず 8 倍します。

① データ量 1,000バイト×1,000件 ② ビットに換算 = 8,000,000 ビット ③ 実効速度で割る 100M×0.5 = 50M ビット/秒 ④ 伝送時間 0.16 秒 伝送時間 = データ量[ビット] ÷ (回線速度 × 回線利用率)
図 10-3 伝送時間の式の分解。①→② の ×8 と、③ の回線利用率(伝送効率)を掛け忘れるのが二大失点です。回線利用率は「割る」のではなく回線速度に「掛ける」ことに注意します。

計算の型 1: 伝送時間

伝送時間[秒]= データ量[バイト]× 8 ÷ (回線速度[ビット/秒]× 回線利用率)

例題: 伝送速度 100M ビット/秒、回線利用率 50% の回線で、1,000 バイトのデータを 1,000 件送るのに何秒かかるか。

  1. データ量をビットに直す: 1,000 × 1,000 × 8 = 8,000,000 ビット
  2. 実効速度を出す: 100 × 106 × 0.5 = 50 × 106 ビット/秒
  3. 割る: 8,000,000 ÷ 50,000,000 = 0.16
  4. 答え: 0.16 秒

同じ式を「速度」について解けば、必要な回線容量の逆算になります。逆算型では計算結果そのものではなく、それを上回る商用回線の品目が正解になる点が独特です。計算値 2.7M ビット/秒に対し、選択肢が 1M・2M・4M・8M なら答えは 4M です。

計算の型 2: 必要な回線速度の逆算

必要な回線速度[ビット/秒]= データ量[バイト]× 8 ÷ 許容時間[秒]÷ 回線利用率

例題: 1M バイトのファイルを 5 秒以内に転送したい。回線利用率が 60% のとき、必要な回線速度は最低いくらか。

  1. ビットに直す: 1 × 106 × 8 = 8 × 106 ビット
  2. 許容時間で割る: 8 × 106 ÷ 5 = 1.6 × 106 ビット/秒(これは実効の値)
  3. 回線利用率で割り戻す: 1.6 × 106 ÷ 0.6 ≒ 2.67 × 106 ビット/秒
  4. 答え: これを満たす品目 4M ビット/秒

回線が理想的でない以上、ビットは一定の割合で化けます。ビット誤り率は「誤ったビット数 ÷ 送信した総ビット数」で、逆に総ビット数を掛ければ誤りビットの期待個数が出ます。ここでもバイト→ビットの換算忘れと、10 の指数の桁ずれが誤答肢として用意されます。誤りの検出・訂正には、1 ビットの誤りを検出するパリティチェック、多項式除算で連続誤りに強い CRC、検出だけでなく 1 ビットの訂正までできるハミング符号があります。

計算の型 3: ビット誤り率と誤りビットの期待個数

ビット誤り率 = 誤りビット数 ÷ 総ビット数 / 誤りビットの期待個数 = ビット誤り率 × 総ビット数

例題: ビット誤り率 1 × 10−7 の回線で、1,500 バイトのパケットを 100,000 個送ると、誤るビットは平均何個か。

  1. 総ビット数: 1,500 × 8 × 100,000 = 1.2 × 109 ビット
  2. 誤り率を掛ける: 1.2 × 109 × 1 × 10−7 = 1.2 × 102
  3. 答え: 約 120 個
出題実績 伝送時間の計算は直近 10 年 19 回のうち 9 回、サブネット計算は 10 回で、この 2 テーマだけで中分類の 5 分の 1 を占めます。しかも直近 3 年(6 回 33 問)は計算型が 11 問(33%)に増え、それ以前の 19% から比率が上がっています。計算を捨てる戦略は成立しません。
用語意味試験での扱い
転送速度(伝送速度)/回線容量単位時間に送れるビット数。単位は bps(ビット/秒)k・M・G は 1,000 倍刻みで扱う(210 ではない)
回線利用率(伝送効率)実際に有効データを運べる割合回線速度に掛ける。割ると答えが 4 倍ずれる
トラフィック理論/トラフィック設計呼の発生量から必要な回線数を決める理論直近 10 年の出題は無し。用語の意味だけ押さえる
呼量(アーラン)呼量[アーラン]= 1 時間の呼数 × 平均通話時間[時間]。1 回線が使える最大が 1 アーラン定義を選ばせる形
呼損率/アーラン B 式(アーランの損失式)回線が塞がって接続できない確率と、その算出式用語として認識できれば十分
性能評価実測・シミュレーションで設計値と実態を突き合わせるネットワーク管理の性能管理と対になる

LAN 技術 ― イーサネット・スイッチ・無線 LAN

1 本の伝送路を複数の端末で共有するには、誰がいつ送ってよいかを決める規則が要ります。これをメディアアクセス制御(MAC)といい、有線イーサネットの方式が CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)です。「送る前に回線を聞き、空いていれば送り、ぶつかったら気づいてランダムな時間待ってから送り直す」という手順で、出題は 4 回すべてこの手順の順序を入れ替えた誤答肢との勝負でした。

① 送信要求 フレームあり ② キャリア検知 回線は空き? ③ 送信開始 空いていれば ④ 衝突を検出? 送信中も監視 衝突なし ⑦ 送信完了 正常終了 衝突あり ⑤ ジャム信号送出 全端末に衝突を通知 ⑥ ランダム時間待つ 待ち時間は指数的に増加 ②へ戻る
図 10-4 CSMA/CD の動作。「衝突したら即座に再送する」「優先度の高い端末から送る」といった手順改変が誤答肢の作り方です。端末が増えて衝突が増えるとスループットが落ちる、という性質もあわせて問われます。

無線 LAN では、電波は送信中に自分の信号で相手の信号がかき消され衝突を検知できません。そこで送信前に一定時間の空きを確認し、それでも他が送っていないと判断してから送る CSMA/CA(Collision Avoidance=衝突回避)を使います。かつての トークンパッシング(トークンリング)は、送信権を表すトークンを回して衝突そのものを起こさない方式でしたが、現在は誤答肢として登場する程度です。

現在の有線 LAN では、スイッチングハブ(レイヤ 2 スイッチ)が中心です。受け取ったフレームの送信元 MAC アドレスと受信ポートの対応を MAC アドレステーブルに自動で記録し(学習)、以後は宛先 MAC アドレスに対応するポートにだけ転送します。テーブルに無い宛先やブロードキャストフレームは、受信ポート以外の全ポートへ送出(フラッディング)されます。

レイヤ 2 スイッチ 宛先 MAC を見て転送 MAC アドレステーブル ポート 1 : PC-A の MAC ポート 3 : PC-C の MAC (学習で自動追加) PC-A PC-B PC-C PC-D ① 送信元 MAC を学習 ③ ポート 3 へ転送 ② 宛先を表で検索
図 10-5 MAC アドレス学習。表に載っていない宛先は全ポートへ送られるため、ループがあるとブロードキャストが増殖し続けます(ブロードキャストストーム)。これを防ぐのがスパニングツリーです。
装置OSI の層転送の判断材料と役割
リピータ/リピータハブ物理層信号を増幅・整形して全ポートへ流すだけ。衝突は共有される。カスケード接続で段数を増やすと遅延と衝突が増える
ブリッジ/スイッチングハブ(L2 スイッチ)データリンク層MAC アドレスを学習し、必要なポートにだけ転送。ブリッジとスイッチングハブは同じ層で同等の機能
ルータ/L3 スイッチネットワーク層IP アドレスを見て異なるネットワーク間を中継。L3 スイッチは同じ機能を専用ハードウェアで高速化したもの
ゲートウェイトランスポート層以上プロトコル体系そのものが違うネットワークを相互接続する
プロキシサーバ(フォワード)アプリケーション層内部の利用者に代わって外部の Web サーバへ要求を出す。閲覧制限・ログ取得・キャッシュ
リバースプロキシサーバアプリケーション層外部からの要求を受け、内部の Web サーバへ中継する。サーバ側の代理で、公開サーバの隠蔽と TLS 終端に使う
ロードバランサトランスポート層以上仮想 IP アドレス(VIP)で受けて複数サーバへ振り分ける。通過後の送信元 IP はロードバランサのものになる
回線接続装置(DSU・ONU 等)物理層WAN 回線と構内設備の境界に置く終端装置
技術内容効果・注意点
VLAN/IEEE 802.1Q(タグ VLAN)1 台のスイッチを論理的に複数のセグメントに分ける。802.1Q はフレームに VLAN ID タグを付けて 1 本のトランクポートで複数 VLAN を運ぶブロードキャストドメインの分割。VLAN が違えばルータ/L3 スイッチを経由しないと通信できない
スパニングツリー(STP)ループになる経路を論理的に遮断し、障害時に自動で切り替えるブロードキャストストームを防ぐ。冗長化と両立させる仕組み
リンクアグリゲーション複数の物理リンクを束ねて 1 本の論理リンクとして扱う帯域の拡大と冗長化を同時に実現する
PoE(Power over Ethernet)LAN ケーブルで給電する。無線 LAN アクセスポイントや IP カメラを電源工事なしで設置できる電力線を通信に使う PLC と混同しない。直近 10 年で 2 回出題
PPP/PPPoE/IPoEPPP は 2 点間の認証つき接続、PPPoE はそれをイーサネット上で行う方式、IPoE は PPP を介さず IP を直接載せる方式PPPoE は認証装置が混雑の原因になりうる
ケーブル・規格同軸ケーブル/より対線(10BASE-T・100BASE-TX・1000BASE-T・10GBASE-T)/光ファイバケーブル数字は速度[M ビット/秒]、T はより対線。TX の X は FDDI 由来の 4B/5B 符号化方式(100BASE-X 系)を表し、2 対を使うのは 100BASE-TX の配線仕様
無線 LAN の用語内容
IEEE 802.11a/b/g/n/ac/axa は 5GHz、b と g は 2.4GHz、n は両方、ac は 5GHz で高速化、ax(Wi-Fi 6)は多端末環境の効率を改善。Wi-Fi 4=11n、Wi-Fi 5=11ac、Wi-Fi 6=11ax、6E は 6GHz 帯対応
周波数帯とチャネル2.4GHz 帯は電子レンジ等と干渉しやすい。隣接アクセスポイントは重ならないチャネルに割り当てる(チャネル設計)
無線 LAN アクセスポイント/SSIDアクセスポイントを介するインフラストラクチャモードと、端末同士が直接つながるアドホックモード。SSID はネットワークの識別名
隠れ端末問題/さらし端末問題互いの電波が届かない端末同士が同時送信して衝突するのが隠れ端末問題、送信可能なのに他の通信を検知して送信を控えるのがさらし端末問題
ローミング/メッシュ Wi-Fi移動しながらアクセスポイントを切り替えて接続を維持する。メッシュは複数のアクセスポイントが網状に中継し合う構成。IEEE 802.11ah(Wi-Fi HaLow)は省電力・長距離向け
MIMO/ビームフォーミング複数アンテナで同時に送受信して速度を上げる技術と、電波を端末方向へ集中させる技術。電波のほか赤外線を使う方式もある
IEEE 802.1X/RADIUSポート単位の認証方式と、認証情報を集中管理するサーバ。認証結果で VLAN を動的に割り当てる運用(ダイナミック VLAN)がある

IP アドレスとサブネット計算

この節は本章で最も出る論点です。サブネットマスクと IPv4 アドレスの計算は直近 10 年で 10 回出題され、うち 8 回が計算問題でした。IPv4 アドレスは 32 ビットで、8 ビットずつ 4 つに区切って 10 進数で表記します。上位がネットワークアドレス部、下位がホストアドレス部で、その境目を示すのがサブネットマスクです。マスクは「ネットワーク部を 1、ホスト部を 0」で埋めた 32 ビットで、CIDR 表記では 1 の個数を「/21」のように書きます。

やることは 2 つだけです。IP アドレスとマスクのビットごとの AND がネットワークアドレス、ホスト部を全て 1 にしたものがブロードキャストアドレスです。図 10-6 で 32 ビット列を実際に重ねてみます。

IP アドレス サブネットマスク AND の結果 ブロードキャスト 172 10101100 30 00011110 123 01111011 45 00101101 255 11111111 255 11111111 248 11111000 0 00000000 172 10101100 30 00011110 120 01111000 0 00000000 172 10101100 30 00011110 127 01111111 255 11111111 ← ネットワーク部(21 ビット) ホスト部(11 ビット)→
図 10-6 172.30.123.45/21 の分解。マスクの 1 が 21 個なので、境目は第 3 オクテットの 5 ビット目です。ホスト部 11 ビットを 0 で埋めればネットワークアドレス、1 で埋めればブロードキャストアドレスになります。

計算の型 4: サブネットの 3 公式

アドレス総数 = 2(32−n) / 割当て可能ホスト数 = 2(32−n) − 2 / ブロードキャストアドレス = ネットワークアドレス + 2(32−n) − 1

例題: 172.30.123.45/21 のネットワークアドレス、ブロードキャストアドレス、割当て可能なホスト数を求めよ。

  1. ホスト部のビット数を出す: 32 − 21 = 11 ビット
  2. 変化するのは第 3 オクテットの下位 3 ビットと第 4 オクテットの 8 ビット。第 3 オクテット 123 = 01111011 とマスク 248 = 11111000 の AND は 01111000 = 120
  3. ネットワークアドレス: 172.30.120.0
  4. ホスト部を全て 1 に: 第 3 オクテット 01111111 = 127、第 4 オクテット 255 → ブロードキャストアドレスは 172.30.127.255
  5. ホスト数: 211 − 2 = 2,048 − 2 = 2,046 台(ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスは端末に割り当てられない)

逆に「クラス C のアドレス空間を 10 個のサブネットに分けたい」と問われたら、10 個を表すのに必要なビット数は 4 ビット(24=16 ≧ 10)なので、マスクは 255.255.255.240(/28)です。連続する 2 つの /23 を 1 つにまとめる集約は逆向きの操作で、共通するネットワーク部が 1 ビット短くなり /22 になります。

区分範囲・表記覚えどころ
アドレスクラス A/B/CA は先頭ビット 0(0〜127)、B は 10(128〜191)、C は 110(192〜223)既定のマスクは A が /8、B が /16、C が /24
クラス D先頭 1110(224〜239)マルチキャスト(特定グループへの同報)専用。ユニキャストは 1 対 1、ブロードキャストは同一セグメント全体
プライベート IP アドレス10.0.0.0/8、172.16.0.0/12(172.16〜172.31)、192.168.0.0/16172.32 以降はグローバル IP アドレス。この境目が定番のひっかけ
特殊なアドレス127.0.0.1 はループバック、169.254.0.0/16 は DHCP 失敗時に自動設定されるリンクローカル「通信できないのに IP が付いている」ときの切り分け材料
IPv6128 ビット。16 進 4 桁を 8 ブロック、コロン区切り。各ブロック先頭の 0 は省略でき、連続する 0 のブロックは「::」で 1 回だけ省略できる2001:0db8:0000:0000:0000:0000:03ab:ff01 → 2001:db8::3ab:ff01。「::」を 2 回使った表記は誤り
MTU とフラグメンテーション1 フレームで運べる上限を超える IP パケットは分割されるMTU 1,500 バイトの経路に 2,000 バイトのパケットを流すと、IP ヘッダー 20 バイトを差し引いた 1,480 バイトと残り 520 バイト(+ヘッダー 20)に分かれる

アドレス解決・ルーティング・アドレス変換

IP アドレスが分かっても、同じセグメント内でフレームを届けるには MAC アドレスが要ります。この橋渡しをするのが ARP(Address Resolution Protocol)で、直近 10 年で 4 回とも「IP アドレスから MAC アドレスを得るプロトコル」という定義が問われました。逆方向(MAC から IP)が RARP です。似た名前の変換系プロトコルは、下の表で「何を何に」の向きごと覚えます。

プロトコル何を何に試験での問われ方
ARPIP アドレス → MAC アドレス定義そのもの。同一セグメントにブロードキャストで問い合わせる。arp コマンドで対応表を確認できる
RARPMAC アドレス → IP アドレスARP の誤答肢として頻出。向きを逆にした肢に注意
DNSドメイン名 → IP アドレス(正引き)、IP アドレス → ドメイン名(逆引き)逆引きの用途(送信元の正当性確認など)も出る
DHCP端末へ IP アドレス・サブネットマスク・デフォルトゲートウェイ・DNS サーバを自動配付要求はブロードキャストなので、セグメントが違うと届かない。DHCP リレーエージェントで中継する
ICMPIP の通信状況を送信元へ通知(到達不能・時間超過など)ping と traceroute が使うプロトコル。データを運ぶのではなく制御メッセージを運ぶ
NAT/NAPTプライベート IP アドレス ⇔ グローバル IP アドレスNAT は IP だけ、NAPT はポート番号も併せて変換する

ルータは受け取ったパケットの宛先 IP アドレスをルーティングテーブルと照合し、次に渡す相手(ネクストホップ)を決めます。複数の経路が該当するときは、より長いプレフィックス(=より具体的な経路)を選ぶ最長一致が原則です。どれにも一致しなければデフォルトルート(0.0.0.0/0)へ送ります。端末側から見て最初に渡す相手がデフォルトゲートウェイです。

方式・プロトコル内容特徴
静的ルーティング管理者が経路を手で登録する小規模で経路が変わらない環境向け。障害時に自動迂回しない
RIP距離ベクトル型。ホップ数(経由ルータ数)が最小の経路を選ぶ最大 15 ホップ。帯域や遅延を考慮しない
OSPFリンクステート型。回線速度から求めたコストの合計が最小の経路を選ぶ組織内(AS 内)の標準。収束が速い
BGPAS(自律システム)間で経路情報を交換するISP 間の経路制御。複数 ISP に接続するマルチホーミングで使う
VRRP複数のルータで 1 つの仮想 IP アドレスを共有し、故障時に待機系へ引き継ぐデフォルトゲートウェイの冗長化。直近 10 年で 2 回出題
ICMP リダイレクト「もっと良いルータがある」とルータが送信元へ通知する経路設定の誤りに気づく手がかりになる

プライベートアドレスの端末をインターネットにつなぐには変換が必要です。NAT は IP アドレスだけを 1 対 1 で置き換えるので、同時に外へ出られる端末数はグローバルアドレスの個数までです。NAPT(IP マスカレード)はポート番号も一緒に書き換え、1 つのグローバルアドレスを多数の端末で共有します。出題の中心は「どのフィールドが書き換わるか」で、往路は送信元、復路は宛先です。

PC 192.168.1.10 NAPT ルータ 203.0.113.5 Web サーバ 198.51.100.7:80 往路 復路 ① 送信元 192.168.1.10:5000 ② 送信元 203.0.113.5:31000 ③ 宛先 203.0.113.5:31000 ④ 宛先 192.168.1.10:5000 変換表: 192.168.1.10:5000 ⇔ 203.0.113.5:31000
図 10-7 NAPT の往路と復路。ルータは変換表に対応を記録しておき、戻ってきたパケットのポート番号から本来の宛先を引き当てます。「復路で書き換わるのは宛先 IP アドレスと宛先ポート番号」と覚えます。
ここがひっかけ NAPT の設問は、往路と復路のどちらを聞かれているかを取り違えさせる作りです。「送信元 IP アドレスと送信元ポート番号」と「宛先 IP アドレスと宛先ポート番号」の 2 通りが必ず選択肢に並びます。問題文の「外部へ出るとき」「戻ってくるとき」を先に丸で囲んでから選びましょう。

TCP と UDP、ポート番号

トランスポート層の役割は「どのアプリケーションへ渡すか」を決めることと、必要なら信頼性を足すことです。宛先を指すのがポート番号、信頼性を足すのが TCP、足さずに軽さを取るのが UDP です。出題は 5 回で、いずれも「UDP に無くて TCP にあるもの」「コネクションレスなのはどちらか」という対比でした。ポート番号とチェックサムはどちらにもあるため、これらを「TCP だけ」とする肢が定番の誤答です。

TCP ヘッダー(20 バイト〜) UDP ヘッダー(8 バイト) 送信元ポート番号・宛先ポート番号 シーケンス番号 確認応答番号 制御フラグ・ウィンドウサイズ チェックサム 送信元ポート番号・宛先ポート番号 パケット長 チェックサム UDP に無いもの シーケンス番号・確認応答番号 制御フラグ・ウィンドウサイズ
図 10-8 ヘッダーの対比。色を付けた 2 行が共通部分です。TCP だけが持つのは「順序を保つ番号」と「相手の受信余力を伝える窓」で、これが再送制御とフロー制御の実体になります。

TCP は通信の前に 3 ウェイハンドシェイク(SYN → SYN+ACK → ACK)でコネクションを確立します。データにはシーケンス番号が付き、受信側は確認応答番号で「次に欲しい番号」を返します。応答が来なければ再送し、相手が一度に受け取れる量(ウィンドウサイズ)に合わせて送信量を調整するのがフロー制御、経路の混雑に合わせて送信量を絞るのが輻輳制御です。一方の UDP はコネクションレスで確認応答も再送もせず、その代わり遅延が小さく、多数の宛先へ同報できます。

ポート番号プロトコル用途と注意点
20/21FTP21 が制御用、20 がデータ転送用。データと制御で別のポートを使う点が問われる。パッシブモードではデータ用ポートをサーバが指定する
22/23SSH/TELNETSSH は暗号化された遠隔操作、TELNET は平文。TELNET は原則使わない
25/587/465SMTP/サブミッション587 は認証つきのメール送信用。OP25B は ISP が外部への 25 番宛て通信を遮断する迷惑メール対策
53DNS問合せは UDP、ゾーン転送や大きな応答は TCP を使う
67/68DHCPUDP を使い、最初の要求はブロードキャスト
80/443HTTP/HTTPSHTTPS は HTTP over TLS。URL でポートを指定する位置はホスト名の直後(コロン区切り)
110/143POP3/IMAP4POP3 は原則ダウンロードして端末で管理、IMAP4 はサーバ上で管理して複数端末から同じ状態を見る
123/161・162NTP/SNMPNTP は時刻同期で UDP を使う代表例。SNMP は 161 が要求、162 がトラップ受信
覚え方 UDP を使う代表は「時刻・音声・映像・問合せ」= NTP・VoIP(RTP)・ストリーミング・DNS の問合せ。いずれも「多少落ちても、遅れるよりまし」な通信です。逆に TCP を使うのは「落ちたら困る」HTTP・SMTP・FTP・POP3 です。

アプリケーション層 ― DNS・Web・メール

科目 B のネットワーク問では DNS が最頻出で、直近 19 回のうち 9 回の主要論点に入っています。仕組みを 1 度追っておけば、名前解決の遅延・古い IP への接続・ゾーン転送といった設問がまとめて解けます。端末のスタブリゾルバはキャッシュ DNS サーバに問い合わせるだけで、実際にルート DNS サーバから順にたどる反復問合せはキャッシュ DNS サーバが行います。

PC スタブリゾルバ キャッシュ DNS 反復問合せを実行 ルート DNS サーバ jp の場所を返す jp DNS サーバ example.jp を教える example.jp 権威 DNS A レコードを返す ① 名前を問合せ ⑤ IP アドレスを回答 ② ③ ④ キャッシュ DNS は TTL の間は結果を保持し、同じ問合せに即答する
図 10-9 名前解決の流れ。②③④ が反復問合せで、上位サーバは「答え」ではなく「次に聞くべきサーバ」を返します。DNS の設定を変えてもすぐ反映されないのは、途中のキャッシュ DNS サーバが TTL の期間だけ古い結果を持ち続けるためです。
DNS の用語内容設問での使われ方
A/AAAA レコードホスト名に対する IPv4/IPv6 アドレスWeb サーバを増設したら A レコードを追加する
CNAME/NS/MX レコード別名/そのゾーンを管理する DNS サーバ/メールの宛先サーバメールが届かない原因として MX の設定漏れが問われる
ゾーン/ゾーン転送1 台の DNS サーバが管理する範囲と、その内容をセカンダリへ複製する仕組みプライマリだけ更新してセカンダリが古いままになる不具合
TTLキャッシュを保持してよい秒数切替え作業の前に TTL を短くしておく、が定番の対策
DNS ラウンドロビン1 つの名前に複数の A レコードを登録し、順番に返して負荷を分散するダウンしたサーバの IP も返してしまう、が欠点
正引き/逆引き名前 → IP/IP → 名前逆引きは送信元サーバの正当性確認などに使う
内部 DNS/外部 DNS社内向けと公開向けでゾーンを分ける社内のホスト名を外部に漏らさないための構成
分野用語内容
WebHTTP/HTTPS・URL・CGIHTTP はメソッド(GET・POST など)とステータスコードで要求と結果を表す。HTTPS は HTTP over TLS。CGI は Web サーバが外部プログラムを呼び出す仕組み
Webcookie/セッション IDサーバがブラウザに保存させる小さなデータで、状態を持たない HTTP にログイン状態を持たせる。セッション ID の推測・盗用が脅威になる
WebHTTP/2・HTTP/3・QUICHTTP/2 は 1 本の TCP コネクション上で複数の要求を多重化し、画像ごとにコネクションを張る非効率を解消する。HTTP/3 は UDP 上の QUIC を使う
WebWebSocket/REST/SOAP/WebDAVWebSocket は双方向の常時接続、REST は URL とメソッドで資源を操作する設計様式、SOAP は XML ベースのメッセージ交換、WebDAV は HTTP でのファイル管理
メールSMTP/POP3/IMAP4送信と転送が SMTP、受信が POP3 か IMAP4。メールサーバ間はリレー方式で配送される
メールMIME/base64/HTML メール(MHTML)/Web メールMIME は本文以外(添付・日本語)を扱う拡張。base64 は 3 バイトを 4 文字に変換するため、データ量が約 4/3 倍になる
ファイル転送FTP(アクティブ/パッシブモード)・TFTPアクティブはサーバからデータ接続を張るためファイアウォールに阻まれやすい。TFTP は UDP を使う簡易版
その他SIP/RTP・検索エンジン・ネットワーク OSSIP が IP 電話の呼制御、RTP が音声・映像の転送。検索エンジンはロボット型と全文検索型。ネットワーク OS の形態はピアツーピア形式とクライアントサーバ形式
QoS優先制御・帯域制御・DiffServ音声のような遅延に弱い通信を優先して転送する。DiffServ は IP ヘッダーの印で優先度を区別する方式

ネットワーク管理と仮想化 ― SNMP・SDN・WAN サービス

運用管理は構成管理(機器構成とバージョンを記録し変更を追う)、障害管理(情報収集 → 障害の切分け → 障害原因の特定 → 復旧措置 → 記録、および死活監視)、性能管理(トラフィック監視と転送時間の分析)の 3 本柱です。切り分けは下の層から順に確認するのが鉄則で、「ケーブルとリンクランプ → ping で疎通 → arp で MAC の重複 → nslookup で名前解決 → ログの突合せ」と進めます。ログを突き合わせるには各機器の時刻が合っている必要があり、そのために NTP を使います。

ツール何が分かるか使う場面
pingICMP エコー要求・応答で相手までの到達性と往復時間まず疎通があるかを確認する。応答が無くても ICMP を遮断しているだけの場合がある
traceroute宛先までに経由するルータの一覧どこまで届いてどこで止まっているかの切り分け
ipconfig/ifconfig/ip自機の IP アドレス・マスク・デフォルトゲートウェイ169.254 が付いていれば DHCP が失敗している
arpIP アドレスと MAC アドレスの対応表同じ IP に別の MAC が現れれば IP アドレスの重複を疑う
netstat/ssコネクションの状態、待ち受けポート、経路表ポート枯渇や想定外の通信の発見
nslookup/digDNS への問合せ結果と応答したサーバ古い IP アドレスが返っていないかの確認
パケットアナライザー(tcpdump・Wireshark)実際に流れているフレームの中身他の手段で原因が絞れないときの最終手段

機器を 1 か所から集中管理するプロトコルが SNMP です。管理される側の SNMP エージェントが自機の情報を MIB(Management Information Base)という決まった構造で保持し、SNMP 管理ステーションが get 要求で読み出し、set 要求(SetRequest)で設定します。逆にエージェント側から異常を自発的に通知するのが trap 要求(SNMP トラップ)です。定期的な取得(ポーリング)では検知が遅れる障害を、トラップなら即座に知らせられます。

ネットワークの仮想化では、機器ごとに個別設定していた制御機能をソフトウェアで集中管理します。SDN(Software-Defined Networking)は直近 10 年で 6 回出題され、6 回とも正解の記述は「制御機能とデータ転送機能を分離し、コントローラで集中制御する」でした。同文再出題率が本中分類で最も高い論点です。

従来のネットワーク SDN(OpenFlow) 機器 1 制御部 転送部 機器 2 制御部 転送部 機器 3 制御部 転送部 設定は機器ごとに個別 SDN コントローラ 転送のみ フロー表 転送のみ フロー表 転送のみ フロー表 制御指示 制御を 1 か所に集約
図 10-10 従来と SDN の違い。OpenFlow はコントローラと転送機器の間の代表的な規格です。混同されやすい NFV は「ファイアウォールやロードバランサといった機能を専用機器から汎用サーバ上のソフトウェアへ移す」技術で、集中制御そのものを指すわけではありません。
分野用語内容
仮想化トンネリング/オーバーレイネットワーク既存のネットワークの上に、カプセル化によって別の論理ネットワークを重ねる。VPN の基礎技術
仮想化SD-WANSDN の考え方を拠点間 WAN に広げ、回線の選択や優先制御をソフトウェアで集中管理する
WAN サービス専用線サービス/IP-VPN/広域 Ethernet専用線は帯域占有、IP-VPN は事業者の閉域 IP 網、広域 Ethernet は事業者網をイーサネットとして使う。品質保証のない提供形態がベストエフォート
WAN サービスインターネット VPN/xDSL/FTTH/衛星通信サービス/国際通信サービスインターネット VPN は公衆網上に暗号化トンネルを張る。回線交換サービスとパケット交換サービスの区別も用語として押さえる
音声IP 電話/IP セントレックスIP セントレックスは構内交換機の機能を事業者のサーバ側に置くサービス
企業間イントラネット/エクストラネットインターネット技術を社内網に応用したものがイントラネット、企業間で相互接続したものがエクストラネット。EC・EDI の基盤になる
分散CORBA言語やプロトコルに依存せず分散オブジェクトを連携させる基盤の考え方
セキュリティファイアウォール/セキュリティプロトコル/RADIUS通信の許可・遮断を制御する装置と、暗号化・認証を担うプロトコル群、認証の集中管理サーバ。詳細は第 11 章
分野用語内容
移動体通信LTE/VoLTE/5G/ローカル 5G5G は高速・大容量・低遅延・多数同時接続が特徴。ローカル 5G は自社の敷地内に構築する 5G。基地局と端末の間を無線でつなぐ
移動体通信SA 方式/NSA 方式/ネットワークスライシング/キャリアアグリゲーションSA は 5G 単独構成、NSA は 4G 設備と併用。スライシングは 1 つの物理網を用途別の論理網に切り分ける。キャリアアグリゲーションは複数の周波数帯を束ねて高速化する
事業者・端末移動体通信事業者/MVNO/SIM カード/eSIM/フェムトセル/テザリング/テレマティクスMVNO は他社の設備を借りて提供する事業者。eSIM は端末内蔵型の SIM。テザリングは携帯端末を経由して他機器を接続する機能
無線基盤ハンドオーバー/ローミング/間欠受信・ドーマントハンドオーバーは移動中に基地局を切り替えて通信を維持する技術。間欠受信やドーマント(プリザベーション)は端末の省電力化技術
IoTLPWA(LTE-M・NB-IoT・Wi-SUN・LoRaWAN)/IoT エリアネットワーク低消費電力で広域をカバーする無線方式。電池で数年動かすセンサ向け
IoTMQTT/CoAP軽量プロトコル。MQTT はブローカを介した publish/subscribe 型で、多数のセンサからの間欠的な送信に向く
近距離無線BLE/ZigBee/NFCいずれも低消費電力の近距離通信。NFC は数センチの近接通信で、交通系 IC などに使われる
配信CDN/Web APICDN は配信拠点に複製を置いてオリジンの負荷と応答時間を下げる。Web API は HTTP で機能を外部公開する仕組み

ひっかけポイント

ここがひっかけ 1: バイトとビット、k は 1,000 伝送時間・ビット誤り率・base64・MTU 分割はどれも「バイトで与えて、ビットで計算させる」形です。×8 を忘れた値が必ず選択肢にあります。また通信の世界では 1k=1,000、1M=1,000,000 で、記憶容量の 210 とは違います。
ここがひっかけ 2: 「使用可能なホスト数」の −2 2(32−n) をそのまま答えさせる肢(/28 なら 16、/29 なら 8)が用意されます。ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスは端末に割り当てられないので、必ず 2 を引きます。「末尾から降順に N 番目のアドレス」を問われたときの起点はブロードキャストアドレスの 1 つ手前です。
ここがひっかけ 3: 送信元と宛先の入替え NAPT の往路(送信元を書き換える)と復路(宛先を書き換える)、フォワードプロキシ(利用者の代理)とリバースプロキシ(サーバの代理)、ARP(IP → MAC)と RARP(MAC → IP)は、いずれも「向きだけ逆」の肢がペアで並びます。方向を示す語に印を付けてから選択肢を読みます。
ここがひっかけ 4: 「両方にある」ものを片方だけとする TCP と UDP の対比では、ポート番号とチェックサムが「TCP だけが持つ情報」として提示されます。正解はシーケンス番号(および確認応答番号・ウィンドウサイズ・制御フラグ)です。
ここがひっかけ 5: 名前が似た別物と層の取り違え PoE(LAN ケーブルで給電)と PLC(電力線で通信)と PPPoE(イーサネット上の PPP)、NAT(IP のみ)と NAPT(IP とポート)、SDN(制御と転送の分離)と NFV(機能のソフトウェア化)、CSMA/CD(有線・衝突検出)と CSMA/CA(無線・衝突回避)。装置の層も、ブリッジ=データリンク層、ルータ=ネットワーク層、と機械的に確認します。

理解度チェック(科目 A 形式)

Q1. 伝送速度 200M ビット/秒、回線利用率 40% の回線で、2M バイトのファイルを転送するのに要する時間は何秒か。ここで、1M = 106 とする。
  1. 0.025
  2. 0.032
  3. 0.08
  4. 0.2

正解: エ データ量をビットに直すと 2 × 106 × 8 = 1.6 × 107 ビット、実効速度は 200 × 106 × 0.4 = 8 × 107 ビット/秒なので、1.6 × 107 ÷ 8 × 107 = 0.2 秒です。ア は ×8 を忘れた値、イ は回線利用率で回線速度を割ってしまった値、ウ は回線利用率を掛け忘れた値です。

Q2. IP アドレス 192.168.57.203、サブネットマスク 255.255.255.224 のホストが属するネットワークのアドレスはどれか。
  1. 192.168.57.192
  2. 192.168.57.203
  3. 192.168.57.223
  4. 192.168.57.224

正解: ア マスク 224 は 2 進数で 11100000(/27)なので、第 4 オクテット 203 = 11001011 との AND は 11000000 = 192 になります。イ は元の IP アドレスそのまま、ウ はホスト部を全て 1 にしたブロードキャストアドレス、エ は次のサブネットの先頭アドレスです。

Q3. サブネットマスクが 255.255.255.240 のネットワークで、端末に割り当てることができる IP アドレスの最大数はいくつか。
  1. 6
  2. 8
  3. 14
  4. 16

正解: ウ 240 = 11110000 なので /28、ホスト部は 4 ビットです。24 − 2 = 14 台になります。ア と イ はマスク長を 1 ビット読み違えて /29 とした場合の値、エ はネットワークアドレスとブロードキャストアドレスを引き忘れたアドレス総数です。

Q4. ビット誤り率が 2 × 10−8 の回線で、1,000 バイトのパケットを 50,000 個送信したとき、誤るビット数の期待値は何ビットか。
  1. 0.8
  2. 1
  3. 8
  4. 80

正解: ウ 総ビット数は 1,000 × 8 × 50,000 = 4 × 108 ビットで、これに誤り率を掛けて 4 × 108 × 2 × 10−8 = 8 ビットです。イ はバイトからビットへの換算(×8)を忘れた値、ア と エ は 10 の指数を 1 桁読み違えた値です。

Q5. CSMA/CD 方式の動作の説明として適切なものはどれか。
  1. 各端末に順番に送信権を回し、送信権を持つ端末だけがデータを送信する。
  2. 送信前に伝送路が使われていないことを確かめてから送信し、衝突を検出したらランダムな時間だけ待って再送する。
  3. 送信前に周囲の端末と送信の可否を確認し合うことで、衝突そのものを起こさないようにする。
  4. あらかじめ決めた優先度の高い端末から順に送信し、優先度の低い端末は空き時間だけ送信する。

正解: イ キャリア検知 → 送信 → 衝突検出 → ランダム時間待機 → 再送、という順序が CSMA/CD です。ア はトークンパッシング、ウ は無線 LAN の CSMA/CA、エ は優先度制御の説明で、いずれも「衝突を検出してから対処する」という CSMA/CD の性質とは異なります。

Q6. スイッチングハブ(レイヤ 2 スイッチ)と同じ OSI 基本参照モデルの階層で動作し、同等の機能をもつ装置はどれか。
  1. ゲートウェイ
  2. ブリッジ
  3. リピータ
  4. ルータ

正解: イ スイッチングハブもブリッジもデータリンク層の装置で、MAC アドレスを学習して必要なポートだけに転送します。ア はトランスポート層以上でプロトコル体系の違うネットワークを接続する装置、ウ は物理層で信号を増幅・整形するだけの装置、エ はネットワーク層で IP アドレスを見て中継する装置です。

Q7. 同一セグメント内の宛先ホストへフレームを送るために、IP アドレスから MAC アドレスを求めるプロトコルはどれか。
  1. ARP
  2. DHCP
  3. ICMP
  4. RARP

正解: ア ARP は「この IP アドレスの持ち主は誰か」をセグメント内へブロードキャストで問い合わせ、MAC アドレスを得ます。イ は IP アドレスなどの設定情報を端末へ自動配付するプロトコル、ウ は到達不能などの制御メッセージを送信元へ通知するプロトコル、エ は MAC アドレスから IP アドレスを求める逆向きのプロトコルです。

Q8. ping コマンドが宛先ホストとの到達性の確認に使用するプロトコルはどれか。
  1. ARP
  2. ICMP
  3. SNMP
  4. UDP

正解: イ ping は ICMP のエコー要求を送り、エコー応答が返るかどうかと往復時間を測ります。ア はアドレス解決、ウ は機器の管理情報の収集と通知に使うプロトコルです。エ はトランスポート層のプロトコルで、ping が直接使うものではありません。

Q9. NAPT 機能をもつルータを経由して、社内のプライベート IP アドレスの PC がインターネット上の Web サーバと通信している。Web サーバから PC への応答パケットがこのルータを通過するとき、ルータが書き換える情報はどれか。
  1. 送信元 IP アドレスと送信元ポート番号
  2. 送信元 IP アドレスと宛先ポート番号
  3. 宛先 IP アドレスと送信元ポート番号
  4. 宛先 IP アドレスと宛先ポート番号

正解: エ 復路のパケットの宛先はルータのグローバル IP アドレスと変換後のポート番号なので、これを変換表に従って PC のプライベート IP アドレスと元のポート番号へ戻します。ア は往路(PC からインターネットへ出るとき)に書き換える情報です。イ と ウ は往路と復路の書き換え対象を混ぜたもので、送信元と宛先の片方だけを書き換えることはありません。

Q10. UDP のヘッダーには含まれず、TCP のヘッダーにだけ含まれる情報はどれか。
  1. 宛先ポート番号
  2. チェックサム
  3. シーケンス番号
  4. 送信元ポート番号

正解: ウ シーケンス番号は届いたデータを正しい順序に並べ、欠落を検出して再送させるためのもので、信頼性を提供しない UDP にはありません。ア・イ・エ はいずれも UDP のヘッダーにもあります。ポート番号は「どのアプリケーションへ渡すか」を示すために両方で必要で、チェックサムも両方が持ちます。

Q11. 制御用とデータ転送用に別々のウェルノウンポート番号を使うプロトコルはどれか。
  1. DNS
  2. FTP
  3. HTTP
  4. SMTP

正解: イ FTP は 21 番で制御用のコネクションを張り、ファイルの中身は 20 番のデータ用コネクションで運びます。ア は 53 番、ウ は 80 番、エ は 25 番で、いずれも制御とデータを 1 つのポートで扱います。

Q12. OpenFlow を用いた SDN(Software-Defined Networking)の説明として適切なものはどれか。
  1. 1 台の物理スイッチを論理的に複数のセグメントに分割し、ブロードキャストの到達範囲を限定する。
  2. ファイアウォールやロードバランサの機能を専用機器から汎用サーバ上のソフトウェアへ移す。
  3. ルータ同士が経路情報を交換し、経由するルータ数が最小になる経路を自律的に決定する。
  4. ネットワーク機器の制御機能とデータ転送機能を分離し、コントローラが集中的に経路を制御する。

正解: エ SDN は各機器が個別に持っていた制御機能をコントローラへ集約し、機器は指示に従って転送だけを行う考え方です。ア は VLAN、イ は NFV、ウ は RIP のような距離ベクトル型ルーティングプロトコルの説明で、いずれも制御と転送の分離を指すものではありません。

Q13. リバースプロキシサーバの説明として適切なものはどれか。
  1. インターネットからの要求をいったん受け取り、内部の Web サーバへ中継する。
  2. 社内の利用者に代わって、インターネット上の Web サーバへ要求を出す。
  3. 複数のプライベート IP アドレスを、ポート番号を使って 1 つのグローバル IP アドレスへ変換する。
  4. ドメイン名に対応する IP アドレスを、上位のサーバへ順にたどって調べる。

正解: ア リバースプロキシは公開サーバの側に立つ代理で、サーバの隠蔽・TLS の終端・キャッシュを担います。イ は利用者側に立つフォワードプロキシ、ウ は NAPT、エ はキャッシュ DNS サーバの説明です。「誰の代理か」で見分けます。

Q14. PoE(Power over Ethernet)の説明はどれか。
  1. 電力線を通信回線として利用し、コンセントに接続した機器の間でデータを伝送する。
  2. イーサネット上で PPP による利用者認証を行い、ISP へ接続する。
  3. イーサネットの LAN ケーブルを使って、接続した機器へ電力を供給する。
  4. 停電時に接続機器へ一定時間電力を供給し、システムを安全に停止させる。

正解: ウ PoE は通信用の LAN ケーブルで給電する規格で、無線 LAN アクセスポイントや IP カメラを電源工事なしで設置できます。ア は PLC(電力線通信)で、通信と電力の役割が PoE とちょうど逆です。イ は PPPoE、エ は UPS の説明で、名前の似た別物です。

まとめ

論点覚える式・要件誤りやすい点
伝送時間データ量[バイト]× 8 ÷(回線速度 × 回線利用率)×8 忘れ、回線利用率を割ってしまう、往復と片道の混同
必要な回線速度データ量[ビット]÷ 許容時間 ÷ 回線利用率答えは計算値ではなく、それを上回る商用回線の品目
ビット誤り率誤りビット数 ÷ 総ビット数/期待個数 = 誤り率 × 総ビット数バイト→ビット換算忘れ、10 の指数の桁ずれ
サブネットIP AND マスク = ネットワークアドレス、ホスト部を全て 1 = ブロードキャストアドレスマスク長の 1 ビットずれ。集約は共通部が短くなる方向
ホスト数2(32−n) − 2−2 を忘れた値(アドレス総数)が必ず選択肢にある
IP アドレス種別プライベートは 10/8・172.16/12・192.168/16、クラス D(224〜239)はマルチキャスト172.32 以降はグローバル。127 と 169.254 は特殊用途
IPv6128 ビット、16 進 4 桁 × 8 ブロック、連続する 0 は「::」で 1 回だけ省略「::」を 2 回使った表記は誤り
アドレス解決ARP は IP → MAC、RARP は MAC → IP、DNS は名前 ⇔ IP、DHCP は設定情報の配付向きの入替えが誤答肢の作り方
NAT/NAPT往路は送信元 IP + 送信元ポート、復路は宛先 IP + 宛先ポートを書き換えNAT は IP のみ。往路と復路の取り違え
ルーティング最長一致で選び、該当が無ければデフォルトルート。RIP はホップ数、OSPF はコスト、BGP は AS 間VRRP は経路制御ではなくルータの冗長化
装置と層リピータ=物理、ブリッジ/L2SW=データリンク、ルータ/L3SW=ネットワーク、プロキシ=アプリケーション転送の判断材料(信号/MAC/IP/URL)で決める
CSMA/CDキャリア検知 → 送信 → 衝突検出 → ランダム待ち → 再送手順を入れ替えた肢、CSMA/CA(無線・衝突回避)との混同
TCP と UDPTCP だけ: シーケンス番号・確認応答番号・ウィンドウサイズ・制御フラグポート番号とチェックサムは両方にある
ポート番号FTP 20/21、SSH 22、SMTP 25/587、DNS 53、HTTP 80、POP3 110、HTTPS 443FTP だけ制御用とデータ用で番号が分かれる
DNSスタブリゾルバ → キャッシュ DNS → ルートから反復問合せ。A・MX・NS・CNAME と TTL切替え前に TTL を短くする。ラウンドロビンは死活監視をしない
管理・仮想化SNMP は get/put と trap、SDN は制御と転送の分離、NFV は機能のソフトウェア化SDN と NFV、PoE と PLC と PPPoE の取り違え

本章の得点源は、サブネットと伝送時間という 2 本の計算の型(合わせて 10 年で 19 回)と、「何を何に変換・通知するか」を向きごと覚える知識問題です。装置とプロトコルは必ず「OSI のどの層で、何を見て判断するか」をセットで思い出してください。次章からは情報セキュリティに入ります。ここで押さえたパケットの流れとポート番号が、そのままファイアウォールのルール設計と攻撃手法の理解につながります。