応用情報技術者試験 合格教科書|2026年度(令和8年度)対応
第 8 章|科目 A 例年 2 問前後(直近 10 年 19 回で 36 問、1 回平均 1.9 問)

ユーザーインタフェースと情報メディア

UI/UX 設計の原則とアクセシビリティ、画像・音声・動画の表現と圧縮、データ量計算をまとめて取る

この章で学ぶこと

科目 A では、シラバス中分類 7(ユーザーインタフェース)と中分類 8(情報メディア)を合わせて例年 2 問前後が出題されます(直近 10 年 19 回で 36 問、1 回平均 1.9 問。最少 1 問・最多 3 問)。問 22〜27 の帯に集中し、同じ論点の再出題が多い分野です(ユーザーインタフェースは 13 問中 7 問、情報メディアは 23 問中 15 問が再出題論点)。計算問題は全 36 問中 5 問で、いずれも「データ量・帯域幅・標本化」の型です。2 問とも確保するのが目標です。

ユーザーインタフェースの基礎と GUI 部品

ユーザーインタフェース(UI)は、人間とシステムの接触面です。同じ機能でも接触面の作り方で使いやすさが変わるため、試験では「この部品・この仕組みを何と呼ぶか」を定義文から当てさせる問題が中心になります。直近 3 年はこの用語当てが続いており、シラバス Ver.7.2 の用語例に載っている部品名がそのまま出題されています。

情報アーキテクチャ ― 情報を組織化してから並べる

情報アーキテクチャ(IA、インフォメーションアーキテクチャ)は、大量の情報を利用者が見つけられる形に組織化・構造化する設計です。組織化の軸は五十音順・カテゴリ・時系列などで、構造化の型は次の 4 つを押さえます。

構造形使いどころ
階層型木構造で親子にたどる商品カテゴリ、企業サイトの大半
直線型1 本道で順に進む申込みフォーム、チュートリアル
Web リンク型網の目に相互リンクする百科事典型のサイト
フォークソノミー型利用者が自由にタグ付けして分類するSNS のハッシュタグ、写真共有

要素の呼び名も用語例に並びます。ラベルは情報に付ける見出し語、チャンクは人が一度に把握できる情報のかたまり、ナビゲーションは現在地と行き先を示す仕掛けです。メタデータ(データについてのデータ)で意味を機械可読にし、リンクの意味まで機械が扱えるようにする構想がセマンティック Web です。

UI の種類 ― CUI から NUI・VUI まで

文字で命令を打つ CUI(Character User Interface)に対し、アイコンやウィンドウをポインティングデバイスで直接操作するのが GUI(Graphical User Interface)です。さらに、機器の存在を意識させない自然な振る舞いで操作する方式をまとめて NUI(Natural User Interface)と呼び、そのうち音声で操作するものが VUI(Voice User Interface)です。

用語意味
ヒューマンインタフェース人と機械の接触面全般を指す総称。UI はその一部
インタラクティブシステム/インタラクションの原則利用者の入力に応答しながら進むシステムと、その設計原則(状態の可視化・即時のフィードバック・誤操作からの復帰)
音声認識/画像認識/動画認識入力信号から特徴抽出を行い、学習機能をもつモデルで意味に変換して操作につなげる
ユーザー操作の分析操作ログを集計し、迷いや離脱が起きる箇所を見つけて改善に回す
マルチモーダルインタフェース音声・視線・ジェスチャーなど複数の入力手段を組み合わせる
ノンバーバルインタフェース言語以外(表情・身振り)の情報をやり取りする
ジェスチャー/マルチタッチタップ・スワイプ・フリック・ピンチ・ロングプレスなどの操作体系
空間型インタフェース実空間の位置・姿勢を入力に使う(XR 機器など)
自然言語インタフェース日常の言葉で指示できる(対話型アシスタントなど)
シグニファイア「押せる」「回せる」と操作方法を示す手掛かり(見た目の合図)
オブジェクト指向 UI(OOUI)先に対象(オブジェクト)を選び、次に操作を選ぶ
タスク指向 UI先に作業(タスク)を選び、次に対象を選ぶ
選択的知覚人が関心のある情報だけを選んで受け取る性質
身体的適合性体格・可動域・疲労など身体特性への適合

GUI 部品カタログ

定義文から名称を選ばせる形式なので、「1 つだけ選ぶのか、複数選べるのか」「常に見えているのか、操作して初めて現れるのか」の 2 軸で区別すると迷いません。

部品特徴選べる数
ラジオボタン選択肢がすべて見えている1 つだけ
チェックボックス項目ごとに独立してオン/オフ0〜複数
トグルボタン押すたびにオンとオフが入れ替わる2 状態
スライダつまみを動かして値を指定する(音量・明るさ)連続値
リストボックス一覧が枠内に表示され、スクロールして選ぶ1〜複数
プルダウンメニュー普段は 1 行、押すと下に一覧が開く1 つだけ
ポップアップメニュー右クリックなどでその場に浮かび上がる1 つだけ
アコーディオン見出しを押すと下の内容が開閉する―
カルーセル固定領域で複数の画像を順に切り替えて見せる―
ハンバーガーメニュー三本線のアイコンを押すとメニューが現れる―
ツールチップホバー(ロールオーバー)で小さな説明が出る―
テキストボックス自由入力の 1 行または複数行の枠―
出題実績 カルーセルは令和 6 年秋 問 25、ハンバーガーメニューは令和 7 年秋 問 24 で、いずれも「定義文 → 部品名」の形で出題されました。中分類 7 の直近 5 問のうち 4 問は 10 年間で初登場のテーマです。一度も出ていない部品名も、定義 1 行だけは持っておきます。

繰り返し現れる設計上の問題と、その定番の解き方に名前を付けて再利用できるようにしたものが UI デザインパターンです。上の表に並ぶカルーセル・アコーディオン・ハンバーガーメニューはいずれもその実例で、名前が共有されているからこそ「定義文 → 名称」という出題が成立します。

ナビゲーション部品 ― パンくずリストが最頻出

サイト内での「現在地」と「戻り道」を示すのがナビゲーション部品です。パンくずリストは、トップページから現在のページまでの経路(階層)を横一列に並べて示します。似た部品との違いは「何を示すか」で切り分けます。

サイトの階層構造 トップページ 製品一覧 サポート ノート PC 現在地までの経路 パンくずリスト トップページ > 製品一覧 > ノート PC
図 8-1 パンくずリストは、階層をたどった経路をそのまま横一列に写したものです。サイト全体の地図を示すサイトマップや、どのページでも同じ項目が並ぶグローバルナビゲーションとは役割が違います。
部品示すもの置かれる場所
パンくずリストトップから現在ページまでの経路本文の上部
サイトマップサイト全体のページ一覧・地図専用ページ/フッタ
グローバルナビゲーション全ページ共通の主要メニューヘッダ
ローカルナビゲーションそのカテゴリ内のメニューサイドバー
サイト内検索機能キーワードからの直接到達ヘッダ

アイコンの特性(JIS X 9303-1)

アイコンの良し悪しを測る特性が規格で定義されています。語感と定義がずれている習得性が狙われました。

特性定義語感とのずれ
習得性機能を理解した後に、どれだけ容易に思い出せるか「覚えやすさ」ではなく「思い出しやすさ」
識別性他のアイコンと見分けられるか―
判読性細部まで読み取れるか(小さくしても潰れないか)―

UX デザインと画面・帳票・コード・Web 設計

UI が「接触面」なのに対し、UX(User Experience)は利用前の期待から利用後の満足までを含む体験全体です。この小分類はここ 10 年の中分類 7 では 1 問も出ていないため、用語の定義を 1 行ずつ確認する程度で十分です。ただし Web デザインだけは別で、4 問出ています。

UX デザインと情報デザイン

用語内容
UX デザインの五段階モデル戦略 → 要件 → 構造 → 骨格 → 表層。抽象から具体へ降りる
UX ハニカム構造有用・使いやすい・魅力的・見つけやすい・信頼できる・アクセスしやすい・価値がある
エモーショナルデザイン感情に働きかける設計(本能・行動・内省の 3 水準)
インタラクションデザイン操作と応答のやり取り自体を設計する
デザインの 4 原則近接・整列・反復・対比。要素の関係を視覚で示す
LATCH の法則Location(場所)・Alphabet(五十音)・Time(時間)・Category(分野)・Hierarchy(階層)の 5 通りの整理軸
インフォグラフィック/タイポグラフィ情報の図解化/文字組みによる可読性設計
ムードボード色・写真・書体を貼り集めて世界観を関係者で共有する板
ダークパターン解約導線を隠す、既定でオプトインにするなど、利用者の意思に反する選択へ誘導する設計。UX の名を借りた不誠実な設計として倫理・法規制の両面で問題になる

画面設計と入力チェック

入力段階で誤りを止めるのが入力チェック(バリデーション)です。1 件のデータは、形式 → 値の範囲 → 他データとの整合、という順で段階的にふるいにかけます(図 8-2)。

1 件の入力データが通る 3 つのチェック 入力データ フォーマット チェック 形式・桁数 リミット チェック 範囲内か 照合 チェック マスタに有るか DB 登録
図 8-2 左ほど軽く、右ほど重いチェックです。形式が壊れているデータをマスタ照合まで運んでも無駄なので、安い順に並べます。弾かれ方は、形式が壊れていればフォーマットエラー、値や項目の組合せが矛盾していれば論理エラー、連番や順序が崩れていればシーケンスエラーと呼び分けます(順序を見るシーケンスチェックは下の表を参照)。
チェック見るもの例
ニューメリックチェック数値であるべき欄に数字だけが入っているか数量欄に「5個」は不可
フォーマットチェック形式・桁数・区切りの並び郵便番号が 3 桁 + 4 桁か
リミットチェック値が許容範囲に入っているか年齢が 0〜120 か
照合チェックマスタに存在するコードか商品コードが商品マスタにあるか
重複チェック同じキーが既に登録されていないか会員 ID の二重登録
組合せチェック複数項目の組合せが矛盾しないか「未婚」なのに配偶者名がある
バランスチェック合計と内訳が一致するか借方合計 = 貸方合計
シーケンスチェック並び順・連番が飛んでいないか伝票番号の欠番・重複
チェックキャラクターコードに付けた検査文字で誤入力を検出するチェックディジット

入力方式は、あらかじめ枠を用意して埋めさせる穴埋め方式と、選択肢から選ばせるメニューインプット方式に大別されます。誤入力を減らしたいなら後者です。画面設計では、画面構成・情報の検索性・情報の関係性・利用者の用語(社内略語でなく利用者の言葉)・情報提示ストーリーを検討し、ストーリーボードで画面遷移を可視化します。入力量が多い画面では、全体を送らずに一部だけ送る部分送信で応答性を上げます。

帳票設計とコード設計

帳票設計では、プリンターの種類・複写方法といった装置制約事項に加え、誰がいつ何部見るか・どれだけ保存するかという出力特性と、どの欄に手書きで書き込ませるかという入力特性を先に確認します。罫線や固定文字をあらかじめ用意しておき、可変データだけを重ねて印刷する仕組みがフォームオーバーレイです(専用の事前印刷用紙を減らせます)。コード設計は次の 5 種類を対比で覚えます。

コード付け方長所と短所
順番コード発生順に 1 から振る単純だが意味を持たない
区分コード(分類コード)範囲を区切って分類に割り当てる分類は分かるが、範囲を使い切ると破綻する
桁別コード桁ごとに意味を割り当てる集計しやすいが桁数が伸びる
表意コード名称の略字を使う(TV、RED など)覚えやすいが件数が増えると衝突する
合成コード複数のコードを連結する表現力が高いが長い

Web デザインとレスポンシブ Web デザイン

この小分類からは 10 年で 4 問出ており、中分類 7 の中では厚い部類です。レスポンシブ Web デザインは、端末ごとに別ページを用意するのではなく、単一の HTML を画面幅に応じて組み替える手法です。その切替えを担う CSS の機能がメディアクエリで、画面幅などの条件(ブレークポイント)ごとに適用するスタイルを書き分けます。

/* 画面幅 768px 以上のときだけ 2 段組にする */
@media (min-width: 768px) {
  .layout { display: grid; grid-template-columns: 1fr 2fr; }
}
用語内容
モバイルファースト狭い画面の設計から始め、広い画面へ広げる
プログレッシブエンハンスメントまず全環境で使える土台を作り、対応環境にだけ機能を上乗せする
クロスブラウザ複数のブラウザで同等に動くようにする
ワイヤーフレーム装飾を省いた画面の骨格図
フレーム1 つのウィンドウを複数の領域に分け、それぞれに別の HTML 文書を表示する古い手法。現在は非推奨
ナビゲーションデザイン現在地・行き先・戻り道の示し方を設計すること(パンくずリスト、グローバル/ローカルナビゲーションの配置)
アフォーダンスモノの形が示す「できる操作」の可能性
空間近接原理近くに置かれたものは関係が深いと知覚される
UX ライティングボタン名・エラー文など操作を導く文言の設計
スクローリーテリングスクロールに連動して物語を展開する演出
ビジュアルリグレッション変更前後の画面を画像比較して意図しない崩れを検出する
出題実績 メディアクエリは令和 6 年秋 問 50 で出題されました。中分類 7 の 13 問のうち 12 問は問 22〜26 に並びますが、この 1 問だけは通常の帯の外に出ています。「Web デザインは問 22 台にしか出ない」と決め打ちしないでください。

ユーザビリティ評価と人間中心設計

中分類 7 で最も出る論点がここです。10 年 19 回で 4 問あり、うち 3 問(令和元年秋 問 24、令和 4 年春 問 24、令和 7 年春 問 22)は同じ論点の再出題でした。「誰が実施する手法か」で分類できれば、そのまま得点になります。

ユーザビリティの定義 ― 有効さ・効率・満足度

JIS Z 8521(ISO 9241-11)は、ユーザビリティ(使用性)を「特定の利用状況において、特定の利用者が、特定の目標を達成する際の有効さ・効率・満足度の度合い」と定義します。3 要素はそれぞれ測るものが違い、測定法との対応がそのまま 1 問になります。

要素問うこと代表的な指標・測定法
有効さ目標を達成できたかタスク達成率、エラー件数
効率どれだけの資源で達成したか所要時間、操作回数
満足度どう感じたか(主観)インタビュー法、アンケート、評定尺度
ここがひっかけ 満足度は主観なので、達成率や所要時間といった客観指標では測れません。「満足度の評価に適した方法」を問われたらインタビューやアンケートを選びます。逆に「効率」を主観で測る肢も誤りです。

評価手法 ― 利用者が参加するか、専門家だけか

評価手法は誰が評価するかで 2 つに割れます。利用者に実際に触ってもらう手法と、専門家が経験則に照らして机上で点検する手法です。この対応を入れ替えた組合せが定番の誤答肢です。

利用者が参加する評価 専門家だけで行う評価 思考発話法 ユーザビリティテスト 回顧法・アイトラッキング NEM(初心者と熟練者の時間比) ヒューリスティック評価法 認知的ウォークスルー この 2 つだけが 利用者に操作させずに完結する 頻出の正解: 利用者=思考発話法/専門家=ヒューリスティック評価法
図 8-3 左右のどちらに属するかだけで解ける問題が繰り返し出ています。NEM は初心者と熟練者に実際に同じ操作をさせ、その所要時間の比から問題箇所を絞る手法なので、利用者が参加する側です。専門家だけで完結するのはヒューリスティック評価法と認知的ウォークスルーの 2 つだけだと押さえます。
手法やること実施者
思考発話法操作しながら考えていることを声に出してもらう利用者
ユーザビリティテスト課題を与えて操作させ、達成率・時間を測る利用者
回顧法操作の後に、振り返って感想・理由を語ってもらう利用者
アイトラッキング分析視線の動きを計測し、どこを見たかを分析する利用者
A/B テスト2 案を実利用者に無作為に出し分け、成果を比較する利用者
NEM(Novice Expert ratio Method)初心者と熟練者に同じ操作をさせ、所要時間の比(NE 比)から問題箇所を特定する利用者
ヒューリスティック評価法専門家が経験則(ヒューリスティックス)に照らして問題を指摘する専門家
認知的ウォークスルー専門家が利用者になったつもりで手順をたどり、つまずきを予測する専門家

専門家が照らす「経験則」の代表が、ヤコブ・ニールセンが整理した 10 のユーザビリティヒューリスティックスです。システム状態の可視化、現実世界との一致、利用者の制御と自由、一貫性と標準への準拠、エラーの予防、記憶より認識、柔軟性と効率性、最小限で美的なデザイン、エラーからの回復支援、ヘルプと文書の 10 項目からなり、ヒューリスティック評価法はこの種のリストを 1 項目ずつ画面に当てて問題を洗い出します。NEM のように利用者に操作させる手法と違い、実利用者を集めずに実施できるのが専門家型の特徴です。

覚え方 「思ったことを言うのは利用者、経験則で見るのは専門家」。思考発話法は利用者が声に出すのだから利用者、ヒューリスティック(=経験則)評価法は経験則を持つ人、つまり専門家です。この 1 対だけで再出題 3 問が取れます。

人間中心設計(JIS Z 8530 / ISO 9241-210)

評価は 1 回で終わりません。人間中心設計(HCD)は、利用状況を理解するところから始めて設計と評価を繰り返し、要求を満たすまで回すプロセスです。4 つの活動の名称と順序が問われます。

JIS Z 8530(ISO 9241-210)の 4 活動 満足するまで反復 利用状況の 理解及び明示 ① 誰がどう使うか ユーザ要求事項の 明示 ② 要求を文書化 ユーザ要求事項に 対応した設計解の作成 ③ 試作・設計 ユーザ要求事項に 対する設計の評価 ④ 評価して戻る
図 8-4 4 活動は一巡して終わりではなく、評価結果が要求や設計に戻ります。評価が最後の 1 回だけの直線的なプロセスとして描かれた選択肢は誤りです。

プロセスを回す材料として、代表的な利用者像を 1 人の人物としてまとめたペルソナ、利用前後の行動と感情を時系列に並べたカスタマージャーニーマップ、早い段階で試作を作るプロトタイピングが使われます。

アクセシビリティとユニバーサルデザイン

ユーザビリティが「特定の利用者にとっての使いやすさ」なのに対し、アクセシビリティは「高齢者・障害者を含む多様な人がそもそも利用できるか」です。10 年で 3 問(平成 28 年秋 問 24、平成 29 年秋 問 24、平成 30 年春 問 24)出ており、うち 2 問は要旨・正解とも同じ再出題でした。

色だけに頼らない ― 単一チャネル依存を疑う

出題の核は一貫して「1 つの知覚チャネルだけに情報を載せない」です。色覚特性は人によって異なるため、赤い枠だけで「必須」を表すと、その色差を判別しにくい人には情報が届きません。色に加えて文字でも示せば、色が見えなくても伝わります(図 8-5)。

色だけで必須を示す(NG) 氏名 電話 枠の色だけが必須の印 文字でも必須を示す(OK) 氏名 (必須) 電話 (任意) 色 + 文字の二重表示
図 8-5 右は色を落として白黒で印刷しても「必須」が読み取れます。誤答肢は「必須項目を目立つ色にする」「点滅させる」など親切そうに見える単一チャネル依存で作られるので、色以外の手段を併用している肢を選びます。
ここがひっかけ 「重要な項目を赤字にする」「エラー箇所を点滅させる」「説明を画像にして分かりやすくする」は、いずれも一見配慮に見えて配慮になっていません。画像は代替テキスト(alt)が無ければ読み上げできず、点滅は光過敏性発作の誘因になり得ます。情報を色・画像・音のどれか 1 つだけに載せた肢は誤りと判断してください。

規格 ― JIS 番号と守備範囲の対応

この分野の規格は番号を取り違えさせる問題が作りやすく、実際に 4 つの JIS が別々の回で問われています。番号と守備範囲を 1 対 1 で結び付けておきます。

規格対応する国際規格何の規格か
JIS X 8341ISO/IEC 40500(-3 が WCAG 2.0 と一致)高齢者・障害者等配慮設計指針(アクセシビリティ)。多様な人々の利用状況を理解し、アクセシビリティの水準を改善できるようにすることが目的
JIS Z 8521ISO 9241-11ユーザビリティ(使用性)の定義: 有効さ・効率・満足度
JIS Z 8530ISO 9241-210人間中心設計プロセスの 4 活動
JIS X 9303ISO/IEC 11581アイコンの特性(習得性・識別性・判読性)

この 4 つは番号だけを差し替えた誤答肢が作りやすいので、X 8341 =アクセシビリティ、Z 8521 =ユーザビリティ、Z 8530 =人間中心設計、X 9303 =アイコンの 4 点セットで覚えます。あわせて、アイコンの習得性が「覚えやすさ」ではなく「理解した後の思い出しやすさ」である点も、語感に引きずられないようにします。

Web に特化した取組みが W3C の WAI(Web Accessibility Initiative)で、そこが策定するガイドラインが WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)です。WCAG は「知覚できる・操作できる・理解できる・堅牢である」の 4 原則を軸に、達成基準を A / AA / AAA の 3 段階で示します。JIS X 8341-3 は WCAG と整合しており、日本の公的サイトでは AA 相当が目安とされます。

ユニバーサルデザインの 7 原則

ユニバーサルデザインは「最初から誰にでも使える形で作る」考え方です。7 原則は暗記より趣旨の理解で足ります。

原則意味情報技術での例
1 公平な利用誰でも同じように使える読み上げでも操作できる画面
2 利用における柔軟性使い方を選べるキーボードでもマウスでも操作可
3 単純で直感的な利用説明なしで分かるピクトグラムによる表示
4 認知できる情報複数の手段で伝わる色 + 文字 + 記号の併用
5 失敗に対する寛大さ誤操作が致命傷にならないUndo(取消)機能、確認ダイアログ
6 少ない身体的努力楽な姿勢・少ない力で使える連打不要の入力、大きな操作領域
7 接近・利用のためのサイズと空間体格や姿勢を問わず届く拡大表示、十分な間隔のボタン

関連語も 1 行で押さえます。インクルーシブデザインは、排除されがちな人を設計の初期から参加させる手法です(完成品を後から配慮するのではありません)。エルゴノミクス(人間工学)は人の身体・認知特性に機器を合わせる学問、ピクトグラムは言語に依存しない絵記号、UD フォントは「0 と O」「1 と l」のような紛らわしい字形を見分けやすくした書体です。イラストによる説明、音声読み上げ、Undo 機能なども、この考え方を情報技術に応用した例に当たります。

文字と音声のデジタル表現とデータ量計算

ここから中分類 8(情報メディア)です。19 回で 23 問、1 回平均 1.2 問が出ており、0 問の回はありません。うち計算問題は 5 問で、そのすべてが音声・動画のデータ量と標本化に関するものです。計算の型を持っていれば確実に取れるのがこの分野の性格です。

文字のデジタル表現

文字は文字コードで数値に対応付けます。日本語を扱うために複数の方式が併存してきた経緯を押さえます。

文字コード特徴
ASCII7 ビットで英数字・記号を表す最も基本的なコード
JIS コードエスケープシーケンスで漢字と英数字を切り替える。電子メールで使われた
Shift_JISASCII と共存させるため 2 バイト目に記号と重なる値が現れる
EUC-JPUNIX 系で使われた日本語コード
Unicode世界中の文字に単一の符号位置を与える文字集合
UTF-8Unicode の符号化方式。ASCII 互換で 1〜4 バイトの可変長。Web の標準
BOMファイル先頭に置き、符号化方式とバイト順を示す印

音声のデジタル化 ― 標本化・量子化・符号化

アナログの音波をデジタルにする手順が PCM(Pulse Code Modulation、パルス符号変調)です。① 一定間隔で値を採る標本化(サンプリング)、② 採った値を決まった段階値に丸める量子化、③ 段階値を 2 進符号にする符号化、の 3 段階です(図 8-6)。

① 標本化 一定間隔で値を採る 周期 = 1 / 標本化周波数 ② 量子化 5 7 2 4 段階値に丸める 量子化ビット数 = 段階の細かさ ③ 符号化 5 → 0101 7 → 0111 2 → 0010 4 → 0100 2 進符号に変換 量子化 16 ビット = 65,536 段階
図 8-6 標本化の細かさが時間軸の精度(標本化周波数)、量子化の細かさが振幅軸の精度(量子化ビット数)を決めます。どちらを細かくしてもデータ量は増えます。

元の波形と量子化後の値との差が量子化誤差で、量子化ビット数を増やすほど小さくなります。1 秒あたりの標本数が標本化周波数(サンプリング周波数、単位 Hz)、1 標本あたりのビット数が量子化ビット数です。音楽 CD は 44.1 kHz・16 ビット・2 チャネル(ステレオ)が標準です。

計算の型 ① 音声のデータ量

① 音声のデータ量(バイト) 標本化周波数 10 kHz × 量子化ビット 16 ビット × 時間 4 秒 ÷ 8 圧縮率 1 / 4 = 答え 20k バイト ② 標本化定理(周期) 最高周波数 f 20 kHz × 2 標本化周波数 40 kHz 逆数 標本化周期 25 マイクロ秒
図 8-7 上段はデータ量、下段は標本化定理です。上段は「÷ 8」でバイトに直し、下段は「× 2 してから逆数」の 2 段変換を通します。どちらも 1 段落とすと選択肢に用意された誤答値になります。

計算の型: 音声のデータ量

データ量[バイト]= 標本化周波数[Hz]× 量子化ビット数[ビット]× 記録時間[秒]× チャネル数 ÷ 8 × 圧縮率

例題: 標本化周波数 10 kHz、量子化ビット数 16 ビットで 4 秒間サンプリングした音声を、ADPCM で 1/4 に圧縮した。圧縮後のデータ量は何バイトか(モノラル)。

  1. 1 秒あたりのビット数を出す: 10,000 × 16 = 160,000 ビット/秒
  2. 記録時間を掛ける: 160,000 × 4 = 640,000 ビット(= 640k ビット)
  3. 8 で割ってバイトにする: 640,000 ÷ 8 = 80,000 バイト(= 80k バイト)
  4. 圧縮率を掛ける: 80,000 × 1/4 = 20,000 バイト(20k バイト)

誤答値の正体: 80k は圧縮前、160k は 8 で割り忘れた値です。同じ数値の問題が平成 28 年秋 問 22 と平成 31 年春 問 22 の 2 回出ています。

ADPCM(適応的差分パルス符号変調)は、直前の標本との差分を、変化の大きさに応じた幅で符号化することでビット数を減らす方式です。PCM をそのまま記録するより小さくなります。

計算の型 ② 標本化定理

計算の型: 標本化定理(サンプリング定理)

元の波形を復元するには 標本化周波数 ≧ 2 × 最高周波数 が必要(信号が帯域制限されていることが前提で、これを超える高周波成分があるとエイリアシングが生じ正しく復元できません)。標本化周期 = 1 ÷ 標本化周波数

例題: 最高周波数 20 kHz までの音声信号を正しく復元するには、標本化周期を最大何マイクロ秒にすればよいか。

  1. 必要な標本化周波数を出す: 2 × 20 kHz = 40 kHz
  2. 周期は周波数の逆数: 1 ÷ 40,000 = 0.000025 秒
  3. 単位をマイクロ秒に直す: 0.000025 秒 × 106 = 25 マイクロ秒

誤答値の正体: 2 倍を忘れると 50 マイクロ秒になります。標本化定理そのものを計算させる出題は直近 10 年 19 回では令和 7 年秋 問 25 の 1 回だけで(平成 28 年秋 問 22・平成 31 年春 問 22 は標本化周波数を使う音声データ量の計算です)、その選択肢は 2.5・5・25・50。50 がこの誤りに対応し、残る 2 つは桁をずらした値でした。

音声のファイル形式

形式特徴圧縮
WAV(Waveform Audio Format)Windows 標準の音声ファイル形式。PCM を素のまま格納できる基本は無圧縮
AIFF(Audio Interchange File Format)Mac 系で使われる非圧縮形式無圧縮
AUUNIX 系で使われた形式(mu-law 符号化)―
MP3MPEG-1 Audio Layer-3。人が知覚しにくい成分を捨てる非可逆
AAC(Advanced Audio Coding)MP3 の後継。同じビットレートでより高音質非可逆
MIDI波形ではなく「どの音を、いつ、どの強さで鳴らすか」の演奏情報を記録する。音は MIDI 音源が生成する―
ここがひっかけ MIDI は音声波形を記録しません。演奏情報だけなのでデータ量は極めて小さく、同じデータでも音源が違えば鳴る音が変わります。「音声波形を圧縮して記録する形式」という説明で MIDI が並んでいたら誤りです。

静止画・色・圧縮

静止画の小分類は 10 年で 5 問と、中分類 8 の中では 2 番目に厚い区分です。内訳は SVG が 3 問(平成 29 年秋 問 25、令和 3 年春 問 27、令和 7 年春 問 23)、アウトラインフォントが 2 問(令和 3 年秋 問 24、令和 6 年春 問 24)で、どちらもベクター表現の問題です。ラスターとベクターの対比を軸に組み立てます。

ラスターとベクター ― 拡大したときに何が起きるか

ラスターデータ(ビットマップデータ)は画像を画素(ピクセル)の集まりとして持ちます。拡大すると 1 画素が引き伸ばされ、輪郭がギザギザになります。ベクターデータは図形を座標と数式(直線・曲線・塗り)で持つので、拡大しても描き直されるだけで劣化しません(図 8-8)。

ラスター画像 ベクター画像 原寸 拡大 ギザギザが目立つ 原寸 拡大 なめらかなまま 画素(ドット)の集まり 図形を数式・座標で保持
図 8-8 「任意の倍率に拡大して表示する」場面で適するのはベクター側です。アウトラインフォントが問われるのはまさにこの点で、誤答肢にはビットマップフォントが有利な場面(極小サイズでの表示など)が混ぜられます。
観点ラスター(ペイント系)ベクター(ドロー系)
持ち方画素ごとの色の値図形の座標・数式
拡大劣化する(ジャギーが出る)劣化しない
得意写真・自然画ロゴ・図面・文字
形式JPEG・PNG・GIF・BMP・TIFF・HEIFSVG・アウトラインフォント
フォントビットマップフォントアウトラインフォント
出題実績 SVG(Scalable Vector Graphics)は「XML 形式で図形を記述し、W3C が仕様を定めた、Web でも使える画像フォーマット」という定義でほぼ同文のまま 3 回出ています。中分類 8 の単独テーマとしては最多です。対になる W3C の XML 規格 SMIL(Synchronized Multimedia Integration Language。動画・音声の再生タイミングを XML で記述する。平成 28 年秋 問 25)も一緒に覚えます。

静止画のファイル形式

形式圧縮特徴
JPEG非可逆フルカラー(約 1,678 万色)。写真向き。透過・アニメ不可
PNG可逆フルカラー + 透過(アルファチャネル)。図・スクリーンショット向き
GIF可逆256 色まで。簡易アニメーションと透過に対応
BMP基本は無圧縮Windows 標準。素直だがファイルが大きい
TIFF無圧縮・可逆(LZW など)/非可逆も選べる印刷・スキャナ向け。1 つの形式で複数の圧縮方式を切り替えられる
HEIF(High Efficiency Image File Format)主に非可逆(可逆モードもある)HEVC(High Efficiency Video Coding)の符号化技術を静止画に応用。JPEG より高効率
SVG―(ベクター)XML で図形を記述する W3C の仕様
Exif―(メタデータ)撮影日時・機種・位置などを画像に埋め込む規格

計算の型 ③ 静止画のデータ量

計算の型: 静止画のデータ量

データ量[バイト]= 横画素数 × 縦画素数 × 色深度[ビット]÷ 8(無圧縮の画素データ量の理論値で、実際のファイルサイズは圧縮方式やヘッダ情報の影響を受けます)

例題: 1,024 × 768 画素、24 ビットカラーの非圧縮画像 1 枚のデータ量は何 M バイトか(1 M バイト = 1,0242 バイト)。

  1. 画素数を出す: 1,024 × 768 = 786,432 画素
  2. 色深度を掛ける: 786,432 × 24 = 18,874,368 ビット
  3. 8 で割ってバイトにする: 18,874,368 ÷ 8 = 2,359,296 バイト
  4. M バイトに直す: 2,359,296 ÷ 1,048,576 = 2.25 M バイト

色深度 24 ビットは、光の 3 原色(R・G・B)に 8 ビットずつ割り当てたフルカラーです。224 = 16,777,216 色を表せます。画像の細かさを表す単位は、印刷では dpi(dot per inch)、画面では ppi(pixels per inch)です。

色の表現

用語内容
光の 3 原色(RGB)赤・緑・青。重ねるほど明るくなる加法混色。ディスプレイで使う
色の 3 原色(CMY)シアン・マゼンタ・イエロー。重ねるほど暗くなる減法混色。印刷で使う(黒を足して CMYK)
色の 3 属性色相(色味)・明度(明るさ)・彩度(鮮やかさ)
HSV色相(Hue)・彩度(Saturation)・明度(Value)の 3 軸で色を指定する方式。3 属性をそのまま座標にしたもの
色相環色相を環状に並べたもの。向かい合う位置にある色どうしが補色
キープレート多色印刷で位置合わせと輪郭の基準になる版。通常は黒版で、CMYK の K はこの key に由来する
YUV輝度 Y と 2 つの色差で表す。人の目は色差の解像度低下に鈍いので、YUV422・YUV420・YUV411 のように色差を間引いてデータ量を削る(YUV444 は間引きなし)
コントラスト明暗の差。低いと文字が読みにくくなる(アクセシビリティに直結)
ルックアップテーブル色番号と実際の色の対応表。少ない色数で表示するときに使う
ガンマ補正入力値と表示輝度の非線形な関係を補正する

ラスター画像の表示技法

「ギザギザ」か「色数」かで、次の 2 つを判別します。両方とも「CG の要素技術に関する記述のうち適切なもの」という一般形で出題されました。

技法何を解決するかやり方
アンチエイリアシング斜め線・曲線のギザギザ(ジャギー)周辺画素と平均化した中間色を境界に置く
ディザリング使える色数の不足複数の画素を組み合わせ、見掛け上の色数・階調を増やす
フォトレタッチ写真の修整明るさ・色調・不要物の補正
レイヤー編集のしやすさ要素を層に分けて重ねる
トリミング不要部分の除去必要な範囲だけを切り出す

圧縮技術 ― 可逆と非可逆

元のデータに完全に戻せるのが可逆圧縮、戻せないのが非可逆圧縮です。文書やプログラムは 1 ビットの違いも許されないので可逆、写真や音楽は人が気付かない差なら捨ててよいので非可逆を使います。圧縮率は「どれだけ小さくなったか」の指標で、効率のよいデータ保存とネットワーク負荷の軽減が目的です。

方式仕組み可逆/非可逆
ランレングス同じ値の連続を「値 + 連続回数」に置き換える可逆
ハフマン符号出現頻度の高い記号に短い符号を割り当てる可逆
LZ 系(ZIP など)過去に出た同じ並びを「位置 + 長さ」で参照する可逆
MH(Modified Huffman)FAX の 1 次元符号化。ランレングス + ハフマン可逆
MR(Modified READ)直前の行との差分を使う 2 次元符号化可逆
MMR(Modified Modified READ)MR を改良し、全行を 2 次元符号化する可逆
JPEG離散コサイン変換 + 量子化で高周波成分を捨てる非可逆
MPEG・MP3時間方向の冗長性・聴覚特性を利用する非可逆

動画とストリーミング

動画の小分類は 10 年で 4 問。H.264/MPEG-4 AVC の定義が 2 問(令和元年秋 問 25、令和 4 年秋 問 25)、帯域幅の計算が 2 問(令和 2 年 10 月 問 25、令和 6 年秋 問 26)で、後者は 2 回とも同じ数値でした。取り逃しの許されない 2 テーマです。

動画の仕組みと計算の型 ④ 帯域幅

動画は静止画(フレーム)を高速に切り替えたものです。1 秒あたりのフレーム数がフレームレート(fps)です。配信に必要な回線速度は「1 秒間に送るビット数」なので、バイトに直さずビットのまま答えます(図 8-9)。

1 秒あたりのビット数がそのまま帯域幅 解像度 800 × 600 × 色深度 24 ビット × フレームレート 30 / 秒 = 必要な帯域幅 約 350M ビット/秒 800 × 600 × 24 × 30 = 345,600,000 ビット/秒 ÷ 8 しない(帯域幅はビット/秒)
図 8-9 帯域幅を問われたら 8 で割ってはいけません。実際の出題(令和 2 年 10 月 問 25・令和 6 年秋 問 26)の選択肢は 350k/3.5M/35M/350M ビット/秒と桁だけをずらした並びで、単位の取り違えと桁の数え間違いを同時に突いてきます。本書の Q12 では、8 で割った約 43M とフレームレートを掛け忘れた約 11.5M を誤答肢に置いてあります。

計算の型: 動画の帯域幅

帯域幅[ビット/秒]= 横画素数 × 縦画素数 × 色深度[ビット]× フレームレート[フレーム/秒](無圧縮の映像本体のみの理論値で、圧縮動画や音声・通信オーバーヘッドを含む実際の帯域幅とは異なります)

例題: 800 × 600 画素、24 ビットカラー、毎秒 30 フレームの動画を圧縮せずに配信するとき、最低限必要な帯域幅はいくらか。

  1. 1 フレームのビット数: 800 × 600 × 24 = 11,520,000 ビット
  2. 毎秒のフレーム数を掛ける: 11,520,000 × 30 = 345,600,000 ビット/秒
  3. M(106)で表す: 約 350M ビット/秒

単位の見分け方: 「データ量は何バイトか」なら ÷ 8 が要り、「帯域幅・伝送速度はいくらか」なら ÷ 8 は不要です。設問文の末尾を読んでから式を立てます。

動画の符号化方式とコンテナ

試験では「符号化方式(コーデック)」と「入れ物(コンテナフォーマット)」を混ぜた選択肢が作られます。H.264/MPEG-4 AVC は動画データの圧縮符号化方式であって、ファイル形式でも音声形式でもありません。

名称階層内容
MPEG-1符号化方式Video CD 相当。1.5M ビット/秒程度
MPEG-2符号化方式DVD・デジタル放送で使われる
MPEG-4符号化方式低ビットレートでの配信を想定
H.264 / MPEG-4 AVC符号化方式動画データの圧縮符号化方式。ワンセグやインターネット配信で広く使われる
H.265 / HEVC符号化方式H.264 の後継。同画質で約半分のビットレート。4K/8K 向け
Motion JPEG符号化方式各フレームを独立して JPEG 圧縮する(フレーム間圧縮を使わない)
MP4 / AVI / QuickTimeコンテナ映像・音声・字幕をまとめて格納する入れ物
覚え方 MP3 は音、JPEG は静止画、H.264 は動画、MP4 は入れ物。H.264 の説明を選ぶ問題では、この 4 階層のどこに当たるかだけで正解肢が決まります。

走査方式と編集・配信

用語内容
インターレース方式1 枚を奇数行・偶数行の 2 回に分けて走査する。帯域を節約できるが動きの速い映像でちらつく
プログレッシブ方式1 枚を上から順に一度で走査する。ちらつきが少ない
リニア編集テープを頭から順に扱う編集。順序の変更が難しい
ノンリニア編集ディスク上のデータを任意の位置から扱う編集。差替え・並替えが自由
ストリーミング全部を受信し終える前に、受信しながら再生する方式
ビデオオンデマンド(VOD)視聴者の要求時点で配信を始める方式
デジタル放送 / 4K・8K走査線数を増やした高精細映像。H.265 の普及を促した
オーサリング環境文字・音声・画像・動画を組み合わせてコンテンツに仕上げる制作環境
Web コンテンツ/メディア統合Web で配信される文字・画像・音声・動画などの内容/複数のメディアを 1 つの作品にまとめること
コンテンツ管理(CMS)制作・公開・改訂・削除までコンテンツの一生を一元管理する仕組み
ハイパーメディア文字だけでなく画像・音声・動画もリンクで結び付けた構造
PDF / DTP環境に依存せず版面を保つ文書形式/卓上出版

CG と XR ― マルチメディア応用

この章で最も出る節です。マルチメディア応用の小分類は 10 年で 8 問と、中分類 8 の 23 問の 3 分の 1 強を占めます。そのうち 7 問が 3 次元 CG に関するもので、レンダリング 3 問(平成 30 年秋 問 25、平成 31 年春 問 25、令和 5 年秋 問 25)、ラジオシティ法 2 問(令和 3 年秋 問 25、令和 5 年春 問 25)、レイトレーシング法 1 問(令和 4 年春 問 25)、サーフェスモデル 1 問(平成 30 年春 問 25)です。

3 次元 CG のパイプライン

3 次元 CG は「形を作る → 見え方を計算する → 表示する」の順で進みます。この工程の名前が問われます。

工程やること
モデリング物体の形状を作る(ポリゴン・曲面)
テクスチャマッピング物体表面に模様・質感の画像を貼り付ける
シェーディング光源との関係から表面の陰影を計算する
レンダリング形状・材質・光源・視点の情報から、表示できる画像を生成する
ここがひっかけ レンダリングは文脈で正解文が変わります。VR 文脈では「仮想世界の情報を、ディスプレイに描画できる画像形式に変換する処理」、CG 一般の文脈では「物体表面に陰影や反射光を付けて画像を作る処理」です。どちらも「情報 → 画像への変換」という核は同じで、モデリング(形状作成)やテクスチャマッピング(模様貼り)とは工程が違います。

シェーディングの代表手法として、ポリゴンの頂点の輝度を線形補間するグローシェーディングと、法線ベクトルを補間してから画素ごとに輝度を求めるフォンシェーディングがあります。後者のほうが計算量は多いものの、ハイライトがなめらかに出ます。

モデルの表現方法

モデル持つ情報できること・できないこと
ワイヤフレームモデル稜線(線)だけ軽いが、面が無いので隠面消去も体積計算もできない
サーフェスモデルポリゴンや曲面パッチによる表面陰影を付けて描画できるが、中身は空洞なので体積は求まらない
ソリッドモデル中身の詰まった立体体積・重心・干渉の計算ができる。データ量は最大
メタボール球や楕円体の集合物体を球や楕円体の集合として疑似的にモデル化し、融け合う曲面を作る。平成 28 年春 問 26・令和 3 年秋 問 25 で誤答肢として登場

描画技法 ― 判別キーで覚える

「3 次元 CG に関する記述のうち適切なもの」という一般形で出るため、技法名と説明文の組合せを入れ替えた誤答肢が並びます。説明文の中のキーワード 1 語で判別します(図 8-10)。

レイトレーシング ラジオシティ Z バッファ 視点 光線 物体 視線と交点を計算 鏡面反射・影が得意 面 A 相互 面 B 拡散反射面の間で 反射し合う光を計算 柔らかい陰影が得意 視線 手前 奥 画素ごとに奥行きを 比べ手前だけ描く 隠面消去に使う
図 8-10 判別キーは、「視線・交点」=レイトレーシング、「拡散反射・相互反射」=ラジオシティ、「奥行き・隠面消去」= Z バッファです。ラジオシティ法の正解文は 2 回とも「拡散反射面間の相互反射による効果を考慮して各面の輝度を決める」でした。

隠面消去の解法は Z バッファ法だけではありません。走査線ごとに視点との走査面を作り、物体との交差線分の奥行きを判定するスキャンライン法、遠くの物体から先に描いて手前の物体で上書きするペインタのアルゴリズムも同じ目的の手法で、令和 4 年春 問 25 では技法名を伏せた誤答肢として並びました。

XR と応用分野

用語内容
VR(仮想現実)作り出した仮想世界に入り込ませる
AR(拡張現実)現実の映像に情報を重ねて表示する
MR(複合現実)現実と仮想を位置合わせして相互に作用させる
XR(クロスリアリティ)VR・AR・MR の総称
メタバース多人数が同時に参加して活動する仮想空間
モーションキャプチャ人や物の動きを計測してデジタルデータにする
ホログラム光の干渉を記録し、立体像を再現する技術
CAD / シミュレーター設計の作図・検証/現象を模擬して訓練や解析に使う
DSP(Digital Signal Processor)デジタル信号処理に特化したプロセッサ。音声・画像処理に使う
3 次元プリンター3 次元データから樹脂などを積層して造形する
テレビゲーム/3 次元映像リアルタイム CG の代表的な応用/両眼視差などを使って立体的に見せる映像
バーチャルサラウンド少数のスピーカーやヘッドフォンで、音が前後左右から届くように聞かせる音響処理
インターネット放送ネット経由で番組を配信する放送型のサービス。視聴者の要求時点で始まる VOD と対になる
マルチメディアデータ合成処理文字・音声・静止画・動画を 1 本のコンテンツに合成する処理

立体視の方式も 1 度出題されています(令和 2 年 10 月 問 11)。アクティブシャッタ方式は、左目用と右目用の映像をディスプレイに交互に表示し、それに同期して眼鏡の左右のレンズを交互に透過・遮断させます。対して偏光方式は偏光の向きで左右を分離し、眼鏡は電気的に動きません。実際の誤答肢には、赤と青のフィルタを付けた眼鏡で見るアナグリフと、網目状のフィルタで裸眼立体視を実現するパララックスバリア方式も並びました。

ひっかけポイント

ここがひっかけ ① 評価手法の担い手を入れ替える 「思考発話法は専門家が行う」「ヒューリスティック評価法は利用者が行う」と担い手を交換した組合せが定番の誤答肢です。声に出すのは利用者、経験則で点検するのは専門家と押さえます。認知的ウォークスルーも専門家側なので、「利用者が参加する手法」の欄に置かれていたら誤りです。
ここがひっかけ ② 単位(バイトとビット/秒)と圧縮率 音声・静止画の「データ量」はバイトなので ÷ 8 が要り、動画の「帯域幅・伝送速度」はビット/秒なので ÷ 8 は不要です。さらに圧縮率は、掛け忘れた値(80k バイト)と 8 で割り忘れた値(160k バイト)が両方とも選択肢に並びます。式を立てたら「問われているのはバイトか、ビット/秒か」を最後に読み直してください。
ここがひっかけ ③ 標本化定理の 2 段変換 最高周波数 → 標本化周波数(× 2)→ 標本化周期(逆数)の 2 段です。2 倍を忘れると周期が 2 倍の 50 マイクロ秒になり、これは令和 7 年秋 問 25 で実際に誤答肢として並んでいました(残る誤答肢 2.5 と 5 は桁をずらした値です)。逆数を取り忘れて標本化周波数のまま答えるのも同型の誤りなので、最後に「求めるのは周期か周波数か」を読み直します。
ここがひっかけ ④ CG 技法の説明文の付け替え 技法名を伏せた「適切なものはどれか」形式では、説明文だけが手掛かりです。視線・交点=レイトレーシング、拡散反射・相互反射=ラジオシティ、奥行き・隠面消去= Z バッファ、ギザギザ=アンチエイリアシング、色数=ディザリング。この 5 語だけで大半の誤答肢が切れます。
ここがひっかけ ⑤ 「親切そうに見える」単一チャネル依存 アクセシビリティの問題では、選択肢がすべて配慮しているように書かれます。必須項目を目立つ色にする・エラーを点滅で知らせる・説明を画像にする、はいずれも 1 つの知覚チャネルに情報を載せただけです。色以外の手段を併用している肢だけが正解になります。

理解度チェック(科目 A 形式)

Q1. ユーザビリティの評価手法を「評価を担うのは誰か」で 2 つに分けたとき、担い手と手法の対応が正しい組合せはどれか。
  1. 利用者が参加: ヒューリスティック評価法/専門家だけ: 思考発話法
  2. 利用者が参加: 認知的ウォークスルー/専門家だけ: ユーザビリティテスト
  3. 利用者が参加: 思考発話法/専門家だけ: ヒューリスティック評価法
  4. 利用者が参加: ヒューリスティック評価法/専門家だけ: 認知的ウォークスルー

正解: ウ 思考発話法は利用者が操作しながら考えを声に出す手法、ヒューリスティック評価法は専門家が経験則に照らして問題を指摘する手法です。ア は両者を入れ替えた組合せ、イ は認知的ウォークスルー(専門家)とユーザビリティテスト(利用者)を入れ替えたもの、エ はどちらも専門家が行う手法を並べています。

Q2. JIS Z 8521(ISO 9241-11)が定義するユーザビリティの 3 要素のうち、満足度を評価する方法として最も適切なものはどれか。
  1. 利用者へのインタビューやアンケートで、使用中に感じたことを聞き取る
  2. 目標を達成できた利用者の割合(タスク達成率)を測る
  3. 目標達成までに要した時間を測る
  4. 目標達成までのキー操作・クリックの回数を数える

正解: ア 満足度は利用者の主観なので、本人に尋ねる方法でしか測れません。イ は目標を達成できたかどうかを見ているので「有効さ」の指標、ウ と エ はどれだけの資源で達成したかを見ているので「効率」の指標です。

Q3. Web ページのアクセシビリティを高める設計として、最も適切なものはどれか。
  1. 入力が必須の項目は、入力枠を目立つ色にして他の項目と区別する
  2. 注意を促す文言は点滅させ、見落とされないようにする
  3. 操作手順の説明は文章ではなく画像にして、視覚的に分かりやすくする
  4. 入力が必須の項目は、色を変えるとともに項目名の隣に「必須」と明記する

正解: エ 色と文字の 2 つの手段で同じ情報を伝えているため、色の差を判別しにくい人にも伝わります。ア は色という単一の知覚チャネルにしか情報を載せていません。イ の点滅は光過敏性発作の誘因になり得ます。ウ は画像に代替テキストが無ければ読み上げできず、かえって情報が届かなくなります。

Q4. Web サイトのトップページから現在表示しているページまでの経路を、階層の順に並べて示すナビゲーション部品はどれか。
  1. カルーセル
  2. パンくずリスト
  3. ハンバーガーメニュー
  4. サイトマップ

正解: イ パンくずリストは、たどってきた階層の経路をそのまま横一列に示します。ア は固定領域で複数の画像を順に切り替えて見せる部品、ウ は三本線のアイコンを押すとメニューが現れる仕組み、エ はサイト全体のページ一覧を示すもので、いずれも「現在地までの経路」は示しません。

Q5. JIS X 8341 を適用する目的として、最も適切なものはどれか。
  1. すべての個人に対して、等しい水準のアクセシビリティを一律に達成できるようにする
  2. 平均的な能力をもつ人々を想定し、標準的な水準のアクセシビリティを達成できるようにする
  3. 多様な人々の利用状況を理解し、より多くの個人のアクセシビリティ水準を改善できるようにする
  4. 人間中心設計のプロセスを 4 つの活動として定義し、反復できるようにする

正解: ウ JIS X 8341 は高齢者・障害者等配慮設計指針、つまりアクセシビリティの規格で、利用状況の多様さを理解したうえで水準を改善していくことを目的にしています。ア は「全員に等しく」、イ は「平均的な人に標準的に」と言い切っており、多様性を前提にする規格の趣旨と逆です。エ は JIS Z 8530(ISO 9241-210、人間中心設計)の説明で、番号を取り違えさせる型の誤答肢です。

Q6. JIS X 9303-1 が定めるアイコンの特性のうち、「習得性」の説明として適切なものはどれか。
  1. アイコンが表す機能をいったん理解した後、その機能をどれだけ容易に思い出せるかを示す
  2. 複数のアイコンが並んだとき、それぞれをどれだけ容易に見分けられるかを示す
  3. アイコンを小さく表示しても、細部をどれだけ正確に読み取れるかを示す
  4. アイコンを初めて見た人が、説明なしに意味をどれだけ推測できるかを示す

正解: ア 習得性は「理解した後の思い出しやすさ」です。イ は識別性、ウ は判読性の説明です。エ は「習得=初めて覚えること」という語感に寄せた誤りで、この語感のずれこそが出題の狙いです。

Q7. 図形を座標と数式で保持するため拡大しても輪郭が崩れず、記述に XML を使う、W3C 標準の画像形式はどれか。
  1. GIF
  2. PNG
  3. SMIL
  4. SVG

正解: エ SVG は図形を座標と数式で記述するベクター形式で、記述には XML を使います。ア と イ はいずれも画素の集まりで持つラスター形式です。ウ の SMIL も W3C が定めた XML の規格ですが、図形ではなく動画や音声の再生タイミングを記述するもので、画像フォーマットではありません。

Q8. 3 次元 CG における「レンダリング」の説明として適切なものはどれか。
  1. 物体の形状を、ポリゴンや曲面パッチの集まりとして定義する
  2. 形状・材質・光源・視点の情報から、表示できる画像を生成する
  3. 物体の表面に、模様や質感を表す画像を貼り付ける
  4. 周辺の画素と平均化して、斜め線や曲線のギザギザを目立たなくする

正解: イ レンダリングは、蓄えられた情報を画像に変換する工程です。ア は形状を定義するモデリングの説明で、表現方法としてはサーフェスモデルに当たります(平成 30 年春 問 25 ではこの文がサーフェスモデルの正解文でした)。ウ はテクスチャマッピング、エ はアンチエイリアシングの説明で、いずれも別の工程・技法です。

Q9. 標本化周波数 10 kHz、量子化ビット数 16 ビットで 4 秒間サンプリングしたモノラル音声を、ADPCM によって 1/4 に圧縮した。圧縮後のデータ量は何 k バイトか。ここで 1k バイト = 1,000 バイトとする。
  1. 20
  2. 40
  3. 80
  4. 160

正解: ア 10,000 × 16 × 4 = 640,000 ビット、8 で割って 80,000 バイト、1/4 を掛けて 20,000 バイト= 20k バイトです。ウ は圧縮率を掛け忘れた値、エ は 8 で割らずにビットのまま圧縮率だけ掛けた値、イ は圧縮率を 1/2 と誤った値です。

Q10. H.264/MPEG-4 AVC の説明として適切なものはどれか。
  1. 音声データの圧縮符号化方式であり、携帯音楽プレーヤーなどで広く使われている
  2. 静止画データの圧縮符号化方式であり、写真の保存に適している
  3. 動画データの圧縮符号化方式であり、ワンセグ放送やインターネット配信で使われている
  4. 映像・音声・字幕を一つのファイルにまとめて格納するコンテナフォーマットである

正解: ウ H.264 は動画の圧縮符号化方式(コーデック)です。ア は MP3 や AAC、イ は JPEG の説明です。エ は MP4 や AVI などのコンテナの説明で、H.264 で符号化した映像を格納する入れ物にあたり、符号化方式そのものではありません。

Q11. アウトラインフォントの利用が適している場面はどれか。
  1. 表示する文字サイズが 1 種類に固定されており、描画速度を最優先したい
  2. 記憶容量が極端に少なく、あらかじめ用意した点の並びをそのまま転送したい
  3. 画面に表示できる色数が限られており、階調を疑似的に増やしたい
  4. 同じ文字を任意の倍率に拡大して、輪郭を崩さずに表示したい

正解: エ アウトラインフォントは字形を輪郭線(ベクター)で持つため、どの倍率でも描き直され、輪郭が崩れません。ア と イ はいずれもビットマップフォントが有利な場面で、「適する場面の裏返し」を使った誤答肢です。ウ はディザリングの説明で、フォントの表現方式とは関係がありません。

Q12. 800 × 600 画素、24 ビットカラーの画像を、1 秒間に 30 フレーム、圧縮せずに配信する。このとき最低限必要な帯域幅はおよそいくらか。ここで 1M = 106 とする。
  1. 約 11.5M ビット/秒
  2. 約 43M ビット/秒
  3. 約 350M ビット/秒
  4. 約 2,760M ビット/秒

正解: ウ 800 × 600 × 24 × 30 = 345,600,000 ビット/秒で、およそ 350M ビット/秒です。ア はフレームレートを掛け忘れた 1 フレーム分の値、イ は帯域幅なのに 8 で割ってバイト換算してしまった値、エ は逆に 8 を掛けてしまった値です。

Q13. 最高周波数が 20 kHz の音声信号を標本化定理に従ってデジタル化するとき、標本化周期は最大何マイクロ秒にできるか。
  1. 12.5
  2. 25
  3. 50
  4. 100

正解: イ 標本化周波数は最高周波数の 2 倍以上が必要なので 40 kHz、その逆数が周期で 1 ÷ 40,000 = 25 マイクロ秒です。ウ は 2 倍を忘れて 1 ÷ 20,000 とした値、ア は 4 倍にした値、エ は 2 倍を忘れたうえにさらに 2 倍した値です。

Q14. 3 次元 CG の技法に関する記述のうち、適切なものはどれか。
  1. メタボールは、物体の表面に別に用意した模様の画像を貼り付けて質感を表現する
  2. Z バッファ法は、視点から光線を追跡し、物体と最初に交わる点を求めて色を決める
  3. アンチエイリアシングは、表示できる色数が少ない環境で、複数の画素を組み合わせて見掛けの階調を増やす
  4. ラジオシティ法は、拡散反射面間の相互反射による効果を考慮して各面の輝度を決める

正解: エ 「拡散反射」「相互反射」はラジオシティ法の判別キーです。ア はテクスチャマッピングの説明にメタボールの名前を付けた誤りです(メタボールは物体を球や楕円体の集合として疑似的にモデル化する手法)。イ はレイトレーシング法の説明に Z バッファ法の名前を付けた誤りです(Z バッファ法は画素ごとの奥行きを比べる隠面消去の手法)。ウ はディザリングの説明で、アンチエイリアシングは斜め線のギザギザを目立たなくする技法です。

まとめ

この章は科目 A で例年 2 問前後。10 年 19 回の 36 問のうち 22 問が同じ論点の再出題なので、過去に出た形をそのまま覚えるのが最短経路です。次の表が、そのまま出ても解ける必要最小限です。

論点覚える 1 文10 年の出題数
評価手法の担い手利用者=思考発話法、専門家=ヒューリスティック評価法4
SVGXML で図形を記述する W3C のベクター画像フォーマット3
レンダリング形状・材質・光源・視点の情報から表示できる画像を生成する3
アクセシブルな設計色だけに頼らず、文字など別の手段を併用する2
パンくずリストトップから現在ページまでの経路を階層順に示す2
ADPCM のデータ量周波数 × ビット数 × 秒数 ÷ 8 × 圧縮率 = 20k バイト2
H.264/MPEG-4 AVC動画データの圧縮符号化方式(音声でも静止画でもコンテナでもない)2
アウトラインフォント任意の倍率に拡大しても輪郭が崩れない2
ラジオシティ法拡散反射面間の相互反射を考慮して各面の輝度を決める2
動画の帯域幅画素数 × 色深度 × フレームレート = 約 350M ビット/秒2
JIS X 8341多様な人々の利用状況を理解しアクセシビリティ水準を改善する1
アイコンの習得性理解した後の思い出しやすさ(覚えやすさではない)1
カルーセル/ハンバーガーメニュー/メディアクエリ固定領域で画像を順送り/三本線でメニュー展開/単一 HTML の端末別表示各 1
標本化定理標本化周波数 ≧ 2 × 最高周波数、周期はその逆数1
レイトレーシング法/サーフェスモデル視線と物体の交点を計算/ポリゴン・曲面パッチで表面を表現各 1
アンチエイリアシング/ディザリングギザギザを目立たなくする/見掛けの色数を増やす各 1
SMIL/アクティブシャッタ方式再生タイミングを XML で記述/左右交互表示と眼鏡の同期各 1

計算は 4 つの型(音声のデータ量・標本化定理・静止画のデータ量・動画の帯域幅)で足ります。共通する分かれ目は単位です。「何バイトか」なら ÷ 8、「帯域幅・伝送速度はいくらか」なら ÷ 8 は不要。この 1 点を最後に確認するだけで、用意された誤答値を踏みません。

次の第 9 章では、この章で扱った「データをどう表現するか」から一段進んで、大量のデータをどう構造化し、正しく取り出し、矛盾なく更新するか ― データベースの設計・SQL・トランザクションに進みます。